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『ブリンク・トゥワイス』問題はシナリオだ
問題はシナリオだ。
初監督?とは思えない程の巧みな演出と緻密な編集が冴える。
オープニングからその手腕は際立ち、
テンポの良さと緩急の効いたカット、
特にパーティに侵入するまでのスリリングな演出は見事で、
視覚的にも緊張感を保ちながら、
緻密な演出とカメラワークで魅了される。
その後も、
勢いで見せる、焦らし、
意図的にテンポを変えることで観客に余韻を与え、
そして再び引き込んでいく自由自在な演出と撮影、編集が特徴的だ。
映画全体を通して、一つ一つの場面が巧妙に配置されており、
その引き締まった作りに圧倒される。
監督自身の優れた技術に加えて、
かなりの凄腕スタッフたちが支えていることが感じ取れる。
どこを切り取っても技術的に非常に高いレベルで作り込まれており、
そのために無駄なシーンが少なく、どの瞬間も意味がある。
問題は、シナリオだ。
カメラや編集は素晴らしいが、
シナリオ的には退屈だと感じる人もいるかもしれない。
少しずつ異変が感じられ、
何も大きな事件が起きるわけではない、
それこそが本作のキーなのだが。
その〈何も起こらないようで起きている〉
ここで評価が分かれるのは間違いないだろう。
一方、
豪華なキャスト陣もこの映画の魅力を倍増させている。
何も起こらないようで起きている、事を、
チャニング・テイタム、クリスチャン・スレーター、
ハーレイ・オスメント、カイル・マクラクラン、
そしてなんと、
ジーナ・デイビスが総動員で〈起こさない〉
〈起きている〉を高い技術で魅せる。
それぞれの役者が絶妙にキャラクターを状況を、
ハイ&ローの気分を演じ分け、
映画全体のユニークな怖さに加担している。
シナリオが淡々と進行する中での演出の妙、
そしてキャスト陣の力強い演技が相まって、
強い印象を残す映画となっている。
ラストまで離脱するかしないか、
観終わっても離脱するかしないかは、
観客も、もはや本作の登場人物のひとりだ。