『チャレンジャーズ』時制を解体、再構築する技術が高い
時制、構成をバラバラ解体、
再構築して成立させる教科書的作品。
1、構成を、シーンをバラバラにする。
2、登場人物の葛藤、心の乱れのベクトルをラストに向ける。
その向きは変えない。
3、観客に2を踏まえて、ラストに向かって観ている感情を効果的に音楽も使用しつつ、
右肩上がりにクレッシェンドさせていく。
1だけの失敗作品は数多ある。
(メインプロットが事件解決等、論理ドライブだと難易度は高くないが、感情ドライブは難易度が高い)
回想を入れると、
ストーリーが空回りしたり、
バックデート感が観客の気持ちを削ぐ。
2と3が成立しないのであれば、1はやらない。
以上は頭では理解していても、
撮影が始まると難しい。
撮影当日、バラバラになった登場人物の感情の、
どの部分を撮影しているのか、
微妙な芝居に影響してくる、
また、
編集でその感情のベクトルが逆になっている事に気づくケースもある。
そうならない為に、
クランクイン前に、
全カットの絵コンテを描く監督もいれば、
全カット頭の中にある監督もいる(シーン数を100、1シーンのカット数を平均10から50とすれば、およそ1000から5000のカット数)、というかいた。
本作は、
それを1カット1カット、
いや、
1ポイント1ポイント、
正確に芝居して撮影、
編集していた。
なおかつ、
〈気持ちのボール〉〈試合のポイント〉
は3人の誰にあるのか、
このポイントを獲れば、
誰にボールが渡るのか。
ゲームポイント、
セットポイント毎に、
念押し、確認をして、
ストーリーテリング。
そして、
マッチポイント。
(チャンピオンシップポイントとは書かない等正確さよりも状況に合った文言のチョイスも吟味されている)
この決着のパターンは、
80年代には多かった。
試合の解説者(タツノコアニメでいう説明しよう!の状況説明役)が、
美しい!
って言うパターン。
女1男2の三角映画は、思いつくだけでも、
20以上あるのでここでは省略。
【蛇足】
上記の難易度の高さに加えて、
映画映えしないスポーツ、テニス。
勝敗がわかりにくい。
15、30、45じゃないの?
ラブって何?
0?
ウィンブルドンは、
靴もウェアも白!
団体競技なら有り得ないキャラもつくれる。
これも、あれも、映えない。
ブラックベリーは映えてた。