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『火の華』「機動警察パトレイバー2 the movie」を想起させる実写作品

2016年、南スーダンにおける自衛隊のPKO活動において、
[非]戦闘地域で起きた、
いまだ記憶に新しい事件をモチーフとした本作は、

組織や国家の優先順位が、
個人を圧倒する現代社会における、
構造的な問題を鋭くえぐり出しつつ、

戦争の惨禍と人間の心の深淵を、
大空高く打ち上げる花火によって克明に描き出す。

特に、本作における、
事なかれ主義や有事における指揮系統の脆弱性といった、

組織的な問題意識は、「機動警察パトレイバー2 the movie」を想起させる。

自衛隊員が絶叫した「回避不能、リセット不能」というセリフ、、
を超えた叫びは、

個人の無力感と組織の非情さを際立たせ、
観客の心に深い傷跡を残した。

組織による隠蔽工作は、戦争の真実が闇に葬り去られ、
歴史の歪曲をもたらすという、
両作品に共通する暗黒面を浮き彫りにする。
と同時にあらゆる業種、職種で発生している、データ改竄、粉飾決算、書ききれない、、、

悪い事としてフタをしないで、
不正無しの方向で修正していこう、
何故そうなるか、知らないフリ、見てないふりを終わらせよう。

「神がやらなければ、人がやる、いずれわかるさ」という「パト2」における後藤と荒川のセリフは、
未来への希望と同時に、
過去の過ちを繰り返さないための決意をも表明していたといえるだろう。

30年が経過した今、
本作は、このセリフが持つ意味を再考する契機となる。

海外ロケによる臨場感あふれる戦闘シーンは、
戦争の残酷な現実を容赦なく突きつけ、
観客の心に深い衝撃を与える。

花火が打ち上げられる大空も、
線香花火が燃やす空気も、
アフリカも日本も、
スーダンのこどもも新潟の若者も切れ目なくつながっている同じ空間だ。

本作の2024年12月の公開は、

1945年から80年という節目を迎える2025年を控え、

戦争の記憶を風化させないためのタイムリーな試みとも言える。

昨今、NHKの朝ドラにおける原爆裁判の扱いをはじめ、
さまざまな作品で歴史が問い直されている。

これは、私たちが歴史と向き合い、
次世代に継承すべきものと、

決して繰り返してはならないものを峻別しなければならないという時代的要請を反映しているのかもしれない。

【蛇足】
法被を着せる、
ハッピーを持ってくる、
半纏を着る、
気持ちが反転する。

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