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『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』おーいお茶・ネクスト・ドア

おーいお茶。

ペドロ・アルモドバル監督の作品は、
常に観客を驚かせ、時には戸惑わせる。

その大胆な作風は、繊細なテーマを扱いながらも、
過剰とも感じられる演出で観客を挑発し、
強烈な印象を与える。

本作も、アルモドバルらしい色彩と感情の濃厚さが特徴の作品だ。

ティルダ・ウィンストンとジュリアン・ムーアという二人の名優が複雑で多面的な女性たちを演じている。

ウィンストンはどこか奔放で自由な精神を感じさせながら、
過去の重荷を背負っているようにも見える。

一方、ムーアはこれまでのキャリアにおいても、
繊細で内面的な役柄を得意としてきたが、
本作でもその技術は発揮されている。

彼女が演じるキャラクターは、
まるで心の中で戦っているかのような複雑さを持っている。

常に微細で、感情の揺れを一瞬の表情や仕草で見せるため、
観客は彼女の心の中に引き込まれていく。

ただし、あまりにも内向的で感情を抑制した演技が、
時に物語の進行に対して少し重く感じられることもあるかもしれない。

アルモドバル監督の作品は、
しばしば観客に対して安易な答えを与えることを避け、
観る者自身に深く考えさせる。

本作もまた、そんな監督らしい挑戦的な作品だ。

物語が展開する中で、観客は必ずしも一貫した感情を持つことができない。
複雑な人間関係と織り交ぜられたテーマは、
時に観る者を混乱させるが、
それこそがアルモドバル作品の魅力でもある。

それにしても、
冷蔵庫にあった、おーいお茶。
まさか、これがラストドリンクにならないよな、
日本人には受け入れられない・・・
ハラハラしたのは私だけではないはず。

ザ・ドリンク・ネクストドア

【蛇足】
スペインで撮影をしていた時、
スタッフルームをアルモドバルチームとシェアしていた。
その時に日本のモノを見かけたのかもしれない。
カラフルなモノが好きなペドロさん、
綾鷹、生茶だったら物語は入ってこなかったかも・・・

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