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『ビートルジュース ビートルジュース』ティム・バートンの復讐モードとは?

前作から年月が経ち、
VFX技術が飛躍的に発展した現代において、
新たな魅力を放つ作品となった。

本作は、前作の独特な世界観を継承しつつ、
現代の観客の目にも新鮮に映るよう、
VFXや撮影技術を駆使した意欲作でもある。

「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」が、

人形を使ったコマ撮りアニメ、
ストップモーションアニメという手作りの温かみを湛えた作品であったのに対し、

「ビートルジュース」は実写ベースの作品だった。

人間の俳優が演じるキャラクターと、
VFXで作り出されたクリーチャーやセットが絶妙に融合し、
独特な世界観を作り上げていた。

しかし、ナイトメアの緻密なコマ撮りアニメに比べると、
前作のVFX、特撮は「安っぽく見える」という声も多かった。

特に、クリーチャーのデザインや合成処理については、
評価が低かった。

そのあたりが、
本作で、
より洗練された表現を期待している観客も多いのではないだろうか。

しかし、私としては、
この「バートン監督にコントロールされた安っぽさ」こそが前作の魅力の一つだったと考えていた。

その温かみのある手作りの質感とは対照的に、
本作のVFXでも、
どこか粗削りで手作り感あふれる部分がある。

この「わざとらしい」とも言える演出は、
本作のユニークさを際立たせている。

また、本作には前作へのオマージュが随所に散りばめられている。

例えば、ゴーストハウスのVFXシークエンスは、
前作を彷彿とさせるものとなっている。

しかし、
現代の技術で再現するためには膨大な予算が必要となるため、
今回はやむを得ずその分量を減らさざるを得なかったのだろう。

映像にかかる費用に加えて、
映像にかかる以外のマネージメントやリーガル、保険、
そのプロチームにかかる費用がここ10年くらいで、更に肥大化した。

一般的に監督はそのあたりの予算は皮膚感覚では理解できないので、

シナリオやシークエンスを削られるという不本意な事も多かっただろうと推測できる。

別件のディズニーへのバートン監督の記事を読むとそのあたりも関係しているのだろう。

とはいえ本作は、
21世紀の技術とティム・バートンの独特なセンスが融合した、

まさに「ビートルジュースビートルジュース」らしい作品と言える。

CG技術の進化により、より複雑な表現が可能になった一方で、

手作りの温かみを失わないよう、
ミニチュアセットや実物大のセットも積極的に活用され、
それらへのライティング、
カメラワークで幻想的な世界観を構築しているバートン監督の手腕が光った作品といえるだろう。

最後にもう一点、

ウィノナ・ライダーが演じる母親役だ。

娘のために必死に奔走する彼女の姿は、

ウィノナ・ライダーも(復讐モードのティム・バートン自身、ジャック・スケリントン含)オトナになったんだなーと、
自分自身を見つめ直しつつ、
心を揺さぶられた人も多いのではないだろうか・・・。

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