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超個人的、今日のおすすめの本『氷菓』

こんにちは、おぐり丸です。
 今日は米澤穂信作の『古典部シリーズ』から一冊を紹介させていただきます。

 2024年4月現在、全六巻が刊行されており、さらに愛蔵版も三巻まで販売されています。
 2012年には京都アニメーションからアニメ化もしており、かなり人気の作品です。

 きっとこれを読んでいる方の中にも、「もう読んだ事あるわい!!!!」という方も多いはず。

 ただ、私の周りの人ににもいるのですが、アニメだけしか見ていないという方もまた、少なくないと思っています。
 さらにさらに、そもそも推理小説をちゃんと読んだことない!という人も、きっといるでしょう!
でも大丈夫。面白いですから。
正直、米沢穂信先生の本で面白くないのが無いので、基本迷ったら買うのがおすすめです。

 さらに単行本全六巻のうち、ほとんどがアニメ化されているものの、主要人物の根幹に関わる話も含まれる短編が五作、主要人物が二年生になってからのお話である長編が一作がまだ映像化されていません。

 つまり、面白いところだけがアニメになったのではなく!アニメ化されていない原作にもまだまだ面白い話があるという事なのです!!
 まあよく二期はまだか!と言われる作品としても有名な気もしますが、そもそもまだ二期(少なくとも1クール分の12話まで)のストーリーになるだけの物語のストックがないとも考えられるわけですね。
 長編が一つまだアニメ化していないので、やろうと思えば作れるのかもしれませんが、アニメ制作の事はよくわからないので、二期が作られないのもきっと色々理由があるんでしょう。

 さて、そんな中今回紹介するのは、古典部シリーズの第一作目、『氷菓』です。

 古典部シリーズの始まりであり、奉太郎と千反田の出会いの物語となります。

作品概要


作者


 米澤穂信 先生です。

主要人物


 主人公の折木奉太郎
 ヒロインの千反田える
 折木の友人である福部里志
 図書委員もしている伊原摩耶花
                の四人です。

 この四人が中心となり、物語が進んでいきます。
 話の内容によっては、各人物の友人や知り合いが登場し、謎を持ってきたり、巻き込まれたりしていくわけです。

あらすじ


 海外にいる姉から手紙で古典部に入れと言われた、主人公折木奉太郎は放課後の地学講義室で千反田えると出会い、彼女の好奇心に振り回されるように謎を解いて行く。そして、文化祭である神高祭をカンヤ祭という俗称の理由、古典部の文集”氷菓”の行方と名前の由来、千反田えるの伯父”関谷純”の謎に挑み、千反田の忘れてしまった思い出、氷菓という文集のいくつもの謎を解き明かしていく。といった感じです。

概要


 ジャンルは単行本の背表紙から引用しますが、「青春ミステリー」です。
 読んでいると青春とミステリーの二つのジャンルの配分が、とても丁度良く怖さも感じつつ、殺人事件や強盗の様な血みどろな事件ではなく、日常にあふれる不思議を解明していくため、青春のノスタルジックも感じることができると思います。

 人の生き死になどの話が苦手だけど、ミステリーに興味があるという人にはお勧めできる本です。

 『古典部シリーズ』全体にも言える事ではあるのですが、 解決するのは基本的に奉太郎で、主にヒロインである千反田の好奇心が爆発して謎を解く羽目になるというのも、一種のお決まりの流れとして存在しています。
 アニメでの「私、気になります!」と目を輝かせるシーンを見た事がある人もいるかもしれない。あれです。
 なので、いわゆる主人公以外がメインで話が展開する物語では謎解きより、人間ドラマがメインとなり、中々ドロドロした展開もあります。

 謎の例を挙げると、誰もいないはずの音楽室から音が鳴るとか、同じ周期で借りられていく本の目的だとかそういう不思議が登場します。

 特に『氷菓』では、明確に前半と後半が分かれており、小さな日常の謎を解く前半と表題にもなっている”氷菓”についての謎と関谷純の謎を解き明かしていきます。
 前半では、奉太郎の情報処理能力と整頓力、思考力を披露し、いかに不思議な事象や疑問の解消で頼りになる存在なのかを教えてくれます。
 後半では、千反田から、千反田の伯父”関谷純”から幼稚園児の頃に言われた一言で泣いたという話を聞かされ、その理由を探す事なる。そして、古典部の文集”氷菓”にある謎にも挑んでいくことになります。

個人的ポイント


 私自身がこの作品で面白いと思ったところは、前半に出てきたアイテムが、後半の大きく難しい謎でも活きてくるという所です。
 登場人物たちの会話の中で少し出てきたワードが後々重要になったりするのは、推理小説ではよくある事ではあると思うのですが、アイテムが二種類別の使われ方をして出てくるのは、中々ないからです(ここが個人的なポイント)。
 さらに、主人公の省エネ主義という自分から動こうとしない、興味がないわけではないが動かなければならない理由がなければ動かないという主義であるために、謎を誰かが運んでくるという構成になり、一人称視点であるこの小説でも世界観が広がり、主人公が生活している裏で、様々な人が生活をしているのだろうと想像ができます。
 省エネ主義な主人公が積極的に動くという事は、解決が近かったり、何か重要な事柄が分かるかもしれないという事を示し、わかりやすい物語の展開の期待感を感じることができるのです。

さいごに


 しばらく新作が出ていない物語ではありますが、現状出ている物語だけでもかなり長い事読みごたえがあり、特にこの『氷菓』は前半と後半の空気感がかなり違うため何度も読み返したりして、何度でも楽しめる小説で、きっとアニメしか見た事しかない人はアニメとの違いで楽しめると思いますし、普段推理小説を読まない人はマイルドなミステリーなのできっと怖がることなく読む事が出来ると思います!

 推理小説デビューにも、そもそも本をしっかり読もう!と思った時にもおすすめな本です!