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今週末は海へ行くとアルバイトをする予定です

週末の予定について各々考えていることを話しているとき、
あるネパール出身の人が言った「今週末は海へ行くとアルバイトをする予定です」、

母語話者の感覚としては文法的に正しくない文だということはわかるけど、
この人の頭の中のどのようなルールに従ってこの文が産出されたのか、どの規則を誤解しているのかが一瞬ピンと来なかった。

少し考えたら、この人が誤解しているのは「と」の用法である可能性が高いということに気が付いた。

「と=and」と思っているので、週末にやりたい二つのことを接続するために「と」を使ったのだと思う。
たしかに「今朝はサンドイッチと目玉焼きを食べた」なら「と」は"and"のような形で機能しているように見える。

しかし「と」がつなげられるのは名詞だけなので、上のようなミスが起きやすい。

句や文をつなげたいときは「と」だけでは力不足で、接続詞を何か選んで持ってくる必要がある。

「今週末は海へ行くとアルバイトをする予定です」なら、
「今週末は海へ行ったり、アルバイトしたりする予定です」とか、
「今週末は土曜日に海へ行って、日曜日にアルバイトする予定です」とか。

真ん中の文は個人的にはちょっと違和感があるかもしれない。
「たり、たり」はたくさんあるものの中からランダムに選んだ例を挙げるときにつかうものなので、
せいぜい土日の2日間にやることって、「たり」で列挙しなきゃいけないほどそんなたくさんないよね?という気がするからだ。
でも文法的にはどこにも誤りはない。
読む人によっては、私はそこまで違和感ないよという人もいると思う。

「たり」を封じるとしたら?と考えて、二つ目の文ができた。
でもこれは土曜日に、とか日曜日に、とか、
いつそれをやるのかという新しい情報を入れないと微妙に成り立たない気がしたので、そういうものを入れてみた。

「~て」は原則的に順序を表す機能があるので、「いつ」という情報を入れた方が自然な気がする。

そしてこの日から少し経って、このパターンの「と」の間違い方がネパール出身者に多いことに気が付いた。
それがもし母語の影響だとすると、ネパールで広く話されているヒンディー語では名詞を接続する語と句や文を接続する語が同じなのかもしれない。

ちなみに私の周りにはネパール出身の人たちが多いので、
これはいい機会なのかもしれないと思い、ネパール語の勉強をひっそりと始めてみた。

もし使えるようになったら、今は見えていないネパール出身者にありがちな日本語の誤解とかが見えてくるようになるかもしれないので、ちょっと楽しみ。

外国語を勉強するというのもすっかり久しぶりなので、それだけでもまた楽しみ。

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