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ティール組織とは?デメリットを理解し、失敗しない組織づくりを

働き方の多様化に伴い、組織づくりや組織改革に注目が集まっています。しかし、単に「組織」と言っても、その種類や形態はさまざまです。
そこで、近年多くの企業が取り入れようとしている組織のカタチが「ティール組織」。
今回は、ティール組織のメリットとデメリットも整理しながら、失敗しない組織づくりのコツについてご紹介していきます。


ティール組織とは

ティール組織とは、一人ひとりのメンバーが意思決定権をもち、上長がマネジメントを行わなくても、組織としての目的に向け成長し続けられるという次世代型の組織形態のことをいいます。

これは、フレデリック・ラルーが自身の著書「Reinventing Organizations」内で提唱したもので、旧来のマネジメント手法に対して警鐘を鳴らしていることで注目を集めています。

ティール組織に向けた5段階の組織モデル

ティール組織を形成していくためには、5つの進化の過程を経てティール組織が形成されるとされています。
その5段階の組織の特徴については以下の通りです。

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■Red組織(赤)

この組織形態は、衝動型で「狼群」とも言われており、個人の力で支配的なマネジメントを行います。トップが物理的な力で組織を支配する組織形態になります。
組織をどのように生存させられるかという短期的な部分に焦点が当てられる点が特徴で、個人の力に依存するため、再現性がない組織形態にもなりかねません。


■Amber組織(琥珀)

いわゆるヒエラルキー型でピラミッド構造をとり、トップダウンによって組織のメンバーは命令に忠実に従い業務を実行していくという形態です。
また、ヒエラルキーによって特定の個人への依存度合いは減少することと、役割が明確になることで、厳格にその役割を全うすることが求められます。
軍隊的だとも言われており、長期的な目線を持った組織へ変化していきます。


■Orange組織(オレンジ)

ピラミッド構造は残しつつも、横断性を持ち合わせ、Amber組織より柔軟性のある組織形態であることが特徴です。また、長期的な目標達成に視点を置き、各メンバーが猛烈に働くようになります。
また、数値管理でのマネジメントが徹底されているので、成果をあげることができるメンバーはどんどん出世できる仕組みとなっていますが、とにかく機械のように働き続けることを求められてしまう組織です。


■Green組織(緑)

社長や従業員といったヒエラルキーは存在しますが、各メンバーの主体性や個性を発揮しやすく、多様性のある組織になりやすいです。しかし、トップダウンではなくボトムアップによる意思決定が行われることが多いので、物事の決定に時間がかかってしまう場合もあります。
上記3つの組織に比べ、組織に属するメンバー一人ひとりに焦点が当てられやすくなることが特徴です。


■teal組織(ティール/青緑)

組織内にヒエラルキーは存在せず、指示命令系統なども作らないことが、ティール組織の1番の特徴です。
各メンバーへの信頼に基づいて、独自ルールで組織としての目標に向けて各々が業務に取り組んでいくという環境です。指示系統がない分、各メンバーのセルフマネジメントが非常に重要となります。


ティール組織導入の際に必要な3つの要素

ティール組織を実現させるためには「進化する目的」「セルフマネジメント」「ホールネス」の3つの要素が必須とされています。
これら3つの要素について詳しく説明をしていきます。

■進化する目的
ティール組織では、世間の変化に合わせて、組織として成し遂げたいことや組織が成長するためのビジョンについて、各メンバーが常に目を向けていく必要があるとされています。
経営者が一方的に意思決定するのではなく、メンバー全員が組織としての存在意義やビジョンをブラッシュアップし続けていける環境をつくることが必要です。

■セルフマネジメント
全メンバーが意思決定に関わる責任や権限をもっているのがティール組織です。言い換えれば、各メンバーが自分自身の行動に責任を持って目標達成に向けた動きをし、成果をあげなければティール組織は成立しません。
経営者はアドバイスを行うことはできますが、最終的な意思決定は各メンバーの譲渡されているので、一人ひとりが自律的かつ正確な意思決定を行えるかどうかが非常に重要な鍵を握ります。


■ホールネス
ホールネスは、心理的安全性の確保と言い換えることもできます。一人ひとりのメンバーが自身の能力や個性を最大限に発揮できるような環境を作り出し、それらを生かすことで組織の成長を最大化させることがティール組織の特長でもあります。
このような環境をつくり出すために、全メンバーが自分らしくありのままの姿を出せる職場環境を実現させ、心理的安全性を確保することが重要です。

ティール組織を導入するメリット

「自由がある」「ヒエラルキーがない」などの特徴があるティール組織には、果たして組織づくりにおいてどのようなメリットがあるのかを考えます。

メリットはずばり、「組織の成長角度に期待できる」という点です。

ティール組織では、上述した通りヒエラルキーが一切ありませんので、組織自体をフラットにすることができます。フラットにすることで、各々の役割も自由となり、業務の計画から提案、実行までを一貫して行うことになります。
それにより、各メンバーの裁量が大きいことから生まれる新たなアイデアや施策も出やすくなり、メンバー自身のモチベーションアップにもつながります。

また、ヒエラルキーがなく縦割りがないからこそ、階層や部署に囚われることなく、コミュニケーションを自由にとりやすい点も、ティール組織の特徴です。

メリットまとめ
・一人ひとりの裁量が大きい分、新たなアイデアが生まれたり、やりがいを感じられる
・フラットな組織であることで、経験値や年齢などは業務に関係ない


ティール組織を導入するデメリット

組織の成長角度に期待できることがメリットである一方、デメリットに関しては「各メンバーの自律」が必須であることが挙げられます。

上司・部下といった関係性がないことで、指示を受けたり、あるいは軌道修正を行ってくれる立場が確立されていません。
組織の目標に関して、きちんと各メンバーが理解をし、そのゴールに向かって自立的に行動していくマインドセットが、事業成長には必須となります。

自らどんどんチャレンジすることが苦手なメンバーや、組織目標を自分の中に落とし込めないメンバーがいると、ティール組織での事業成長は難しいでしょう。


一見、自分のペースで壁を作らず仕事がしやすいと捉えることができるティール組織ですが、各メンバーの自立と主体性に、組織の成長を一任するという風にも言い換えられます。

一歩間違えれば組織を成長にも衰退にも導いてしまいかねないことを、各メンバーがいかに理解して適切な行動に移せるかが、非常に重要なポイントとなります。

デメリットまとめ
・間違った方向に進んでしまっていても、軌道修正してくれる立場の人がいない
・各メンバーが組織目標に向かって自立している状態でないといけない
・メンバーに事業の成功も失敗も全て一任してしまう
・受動的なメンバーは組織に馴染めない


【事例】ティール組織導入の失敗例

ティール組織の導入について、成功事例を見かけると「案外スムーズに導入できるのかな?」と思うこともあると思いますが、実は上手くいかない企業は多く存在しています。
株式会社BLAM社の方が、そのエピソードをnoteで公開されていましたのでご紹介します。

同社では当時、ティール組織とグリーン組織の間くらいの組織を目指していたようですが、いざ実践するとさまざまな弊害が生まれたようです。
権限をメンバーに譲渡することにより、経営陣がメンバーの声をヒアリングする機会も圧倒的に減りました。その結果として会社のビジョンや、各メンバーのやりたいこと、成し遂げたいことが不明確になってしまったことがティール組織導入時の課題点として挙げられています。

参照:https://note.com/tatsu_from_yama/n/ne49094ed62c2#2Ajsl


ティール組織の導入は、失敗しやすく難しい

以上のとおり、自由な職場環境をイメージしがちなティール組織ですが、いざ導入するとなるとさまざまな壁にぶつかり、導入するのが難しく失敗してしまうケースが多々あります。
一見、自由度が高く感じられるティール組織の導入ですが、実はヒエラルキーのある組織形態よりも各メンバーの背負う責任や役割を重要視する必要があるのが実状です。

では、結局ティール組織よりも、ヒエラルキーが整備されているピラミッド型の組織経営の方が楽に事業成長するのではないのか……。そんな風に感じてしまうかもしれません。
しかし、そもそもピラミッド組織で不満が出たからこそ、ティール組織が誕生したのです。

ピラミッド組織における1番の課題点は、トップダウンが主軸となっているということです。経営陣からの一方通行な指示や方針を受けた時に、現場で発生する問題点や不満を上げることができずに、メンバーが離脱してしまい事業成長のスピードが下がってしまいます。


ピラミッド型組織も、ティール組織も、どちらも長所と短所は存在します。これがぴったりだ!という組織形態が見つからない場合は、それぞれの組織形態の良い部分を取り入れながら、組織づくりを熟考していく必要があります。

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ティール組織の導入で失敗しないコツ

ピラミッド型組織のようにトップダウンの一方通行では、現場メンバーの不満が溜まりますし、一方でティール組織のように全ての裁量をメンバーに任せてしまうと、メンバー自身のセルフマネジメントに組織の成長を一任してしまうことへの不安が膨らんでしまいます。

ではどうすればそれらの課題を解決し、事業成長できるのか。
OGSでは、事業成長には「循環型経営」の組織形態が必須であると考えています。

循環型経営というのは、経営陣からのトップダウンと現場からのボトムアップが常に組織内で循環している状態の組織形態を指します。
組織に属する全従業員の風通しが悪いと、経営陣としては「現場メンバーが何を考えているのか分からない」という不安があると思いますし、現場メンバーとしては「経営陣から降りてくる指示の意図が分からない」といった思いが募ります。

そういったコミュニケーションの壁を取り除き、組織が円滑に循環する環境をつくることが事業成長に向けた絶対条件であると考えています。

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循環型経営を実践するために、お互いの立場で感じている意見を交換できるように社内アンケートを定期的に行ったり、経営方針についての説明を行う時間を設けたりすることは効果的です。
これらを実践することで、社内の循環が圧倒的に改善されます。


さまざまな組織形態を導入することももちろん重要ですが、まずは「立場ごとに感じる認識のズレやギャップ」を埋めていくことこそが、事業成長への一番の近道ではないでしょうか。

ティール組織を正しく理解し、失敗しない組織運営を

ティール組織は、「組織の成長を自分たちの手で動かしていきたい!」という強い意志を持ったメンバーが多い会社には適した組織形態かもしれません。
その一方で、全ての権限をメンバーに任せてしまうので、事業成長の成功も失敗も、雇用しているメンバー次第になってしまうという点が、デメリットとなってしまうことも多々あるのです。

メンバーの主体性や意見を生かしながらも、大切な決断や会社としての方針を決断は経営陣が行うという風に、常にトップダウンとボトムアップが循環する「循環型経営」を取り入れることは非常に重要です。
そして、自社ならではの良さを生かしながら経営していくことが、確実な事業成長へとつながるはずです。


実際に「自社のメンバーはどんな本音をもっているのだろう。」
といった疑問をもたれる経営者の方も多くいらっしゃるかと思います。
突然ヒアリングをしても、メンバーに抵抗をもたれることも多いですし、ボトムアップによって今すぐ現場メンバーの本音を探ることに少しハードルを感じられる方も多いかと思います。

OGSでは従業員の本音を聞き出した「従業員のホンネと経営陣との意識ギャップ調査シート」をご自由にダウンロードしていただけるように準備しています。

まずはこちらのシートを参考にしていただき、現場のメンバーがどういった本音を抱えているのかを把握し、自社に最適な組織のカタチについて今一度考える機会をつくってみてください。

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