冒険のスポンサー企業とどのように出会い、どんな姿勢で資金を集めてきたか
冒険にはお金がかかる。
私が長年行っている極地冒険も、どんな計画を行うかで必要な資金のボリュームもさまざまに変化する。
2000年、22歳から始めた極地冒険であるが、若い頃はなるべくお金がかからないよう、カナダ北極圏やグリーンランドの、イヌイット(エスキモー)の集落を繋いで歩くような冒険を中心に行っていた。
若いころの北極行に必要な費用は、一回の遠征に150万円から200万円ほどだった。
内訳としては、日本から現地の村までの渡航費。途中での宿泊、移動費。新しく調達する装備代。保険料。衛星電話の通信費。などなどである。
2000年から2011年まで、北極圏への渡航回数としては11回になるはずだが、その費用の全ては日本でのアルバイトで賄っていた。
北極での冒険シーズンは、3月から5月が中心となる。6月くらいから、翌年の2月ごろまで、ひたすら働いてお金を貯める。
貯まったお金を持って北極に赴き、全て使ってすっからかんになって帰国して、また働く。
お金が貯まったら北極に行く、のではなく、北極に行くのに間に合うように働いて貯める。
そんなことを10年以上、毎年繰り返していた。
そのフェーズが変化していくのが、2012年から。何が起きたかといえば、より必要な資金の桁が大きくなる遠征を始めた。
より資金のかかる冒険へ
2012年に初めて挑戦したのが、北極点無補給単独徒歩の挑戦だ。
それまで、人の住む村を繋いで歩く冒険を行っていたが、スタートもゴールも、完全無人の世界での難易度の高い冒険を開始した。
北極点への挑戦となると、スタート地点が北緯83度のカナダ最北の無人の岬。
スタート地点に立つために飛行機をチャーターして移動する必要があったりと、かかる費用が跳ね上がる。
2012年からは、北極点や南極点などの挑戦を始めることになるのだが、一回の経費は2000万円ほどかかるようになった。一桁増えたわけだ。
それまでアルバイトだけで費用を賄っていた身としては、2000万円の費用は荷が重い。自分でアルバイトで貯めて行こう、という金額ではない。
その頃から、スポンサーを募って冒険を行うようになっていった。
主に企業を中心に、私が極地冒険を行うにあたって必要な資金を提供してもらうわけである。
ここで重要なのは、私の場合は「投資話」を相手に持ちかけるわけではない、とい
うこと。
いわゆる投資の話であれば、私に100万円出してくれたら、200万円にして返しますよ。ということになるだろうが、私の場合は「100万円ください」という話だ。冒険の費用を集めるわけなので、出してもらったお金は使って消えてしまう。
そんな個人の冒険活動に対して、どのように企業のスポンサーを見つけてきたか。
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