書籍【ONLYNESS~組織も肩書もいらない人生をつくる】読了
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◎タイトル:ONLYNESS~組織も肩書もいらない人生をつくる
◎著者:ニロファー・マーチャント、栗木さつき(訳)
◎出版社:KADOKAWA
「オンリーネス」とは著者の造語。権力も立場も関係なく、気持ちさえあれば誰でも世界を変えられるはずだ。
そして当然、年齢・性別・人種・金持ちかどうかなども全く関係がない。
綺麗ごとではなく、実際にたった1人の思いから世界を変えた事例を紹介している。
確かに「あの人は特別だから」とか、「自分にはそんな能力はない」とか思ってしまうのが普通だと思う。
果たしてそれでは、彼ら彼女らが最初から壮大な取り組みを考えて大きく実行していただろうか。
現状の社会課題に対して「どうしても克服したい」という燃えるような熱い思いは持っていたかもしれないが、最初の活動としては本当に極々身近なところから小さく始まったはずだ。
それがいつしか仲間が増え、その仲間が仲間を呼び、気が付いたら大きなムーブメントになっていただけではないだろうか。
そんな事例が本書の随所に書かれている。
つまり、強烈な熱い想いさえあれば、能力などは関係ないし、当然に特別な才能も人脈も必要ないということだ。
最初は小さく、ひたすら愚直に活動していれば、勝手に人脈などは付いてくるのかもしれない。
これからのAI時代において「人間は何をして生きていくべきか」という議論が様々されている。
人間の代わりにAIが仕事を行うようになっていく。
その中でも特に語られるのが「AIには出来なくて、人間だけが出来ること」についてだ。
これは当然の話で、今まで人間が行っていた仕事だって「これって機械化可能じゃないか?」というものについては、どんどん機械に置き換わってきた。
歴史をたどれば、まずは肉体労働から機械化が進んだと言える。
当たり前だが人力だけで巨大な建造物を作ることはできないし(何千年も前にピラミッドを作ったのはすごいと思うが)、そもそも人間の筋力を集めても、その力はたかが知れている。
科学技術の発展のお陰で人間の筋力は拡張された。
今では人間は宇宙にだって行けるようになった。
それが今度は「知識労働の機械化」が行われていくというだけだ。
よくよく考えると会社に行っても「ブルシットジョブ」を行うだけであれば、そんなものはAIに任せた方が精神衛生上も絶対に良いはずだ。
(AIが賢過ぎて、ブルシットジョブを「無駄」と判断して仕事してくれないかもしれない)
くだらないと思っているなら、尚更人間がその仕事にしがみつく理由が全くない。
そんなものはとっとと手放して、本書で語られるような社会課題の解決だったり、人間でしかできないことに邁進した方が絶対にいいだろう。
その方が社会のためにも地球のためにもなるし、当然自分のためにもプラスでしかないと思う。
人間とはそもそも社会的生き物なのだから、集団の中で孤立することを避けるようにできている。
「孤独では生きていない」ということが、本能的にプログラムされているのはしょうがないことなのだ。
だからブルシットジョブであっても、社会の中での自分の存在を肯定するためにも、捨てずに真面目に取り組まざるを得ない。
しかしながら時代はもうそんな時代ではない。
小さな集団から孤立すると生きていけなかったのは確かであるが、今ではSNSを通じて別のコミュニティを探すことは容易になった。
自分の価値観に合う、居心地のよい場所を探していけばよいだけだ。
だからこそ、我慢してくだらない仕事に従事し続ける必要は全くない。
「お金のために」という意見もあるかもしれないが、暮らしていける必要最低限のお金があれば、居心地の良い場所で暮らした方が絶対にいい。
それぐらいのお金は、今の日本で暮らす限りは何とかなりそうな気がしている。
今までの「こうでなければいけない」「この通りやらなくてはいけない」という先入観を越えていきたいところだ。
いや、越えていける力が我々にはすでに備わっているはずなのだ。
本書の中で、映画脚本の「BLACK LIST 2000」のエピソードについて考えさせられた。
考えてみれば自分自身も、今までの先入観や業界の慣習に気付かないまま囚われていたのだ。
世の中にある「純粋に面白い脚本」を探すことは、本当に意味があることだろう。
それが今までは映画制作業界とのコネクションを持ってなければ、日の目を見ることが出来なかったのだ。
その埋もれた才能を「BLACK LIST 2000」という仕組みを使って、見つけ出すことができるようになった。
ほんの小さな行動だったかもしれないが、賛同者が瞬く間に増えて、なんとアカデミー賞を受賞する作品のいくつかが「BLACK LIST 2000」で発掘された脚本ということだ。
今はSNSを通じて、思いが広がりやすくなっているのは間違いない。
これからの時代を生きるには、組織も肩書きも関係ない。
何も持っていない自分かもしれないが、熱い思いがあれば賛同者が繋がってくれるかもしれない。
まさに「これからのAI時代にどう生きるか」のヒントにもなり得る話であった。
人間の想像力は、テクノロジーを越えていける。
そして行動すれば、社会の見えない壁も越えていける。
自分自身の人生を主体的に生きていくために、ONLYNESSを活かしていきたい。
(2024/4/27土)