レジリエンス(日記95)
今朝、とっても疲れていた。
正確に言うと、昨日の夜から。
ガス欠の車のように、自分のからだを動かすエンジンが、ぷすん、ぷすん、と音を立てて止まるのが、わかった。
もう、うごけない。
ソファに寝そべって、タオルケットをかけたが最後、そのまま眠ってしまった。
時間は、夜の8時だった。
夜中に、同居人氏1が起こしてくれて、なんとか布団になだれこんだ。
そこから、朝まで、ぐぅ、ぐぅ、ぐぅ。
今朝起きたとき、ああ、つかれたなあ、と思った。
ひとつひとつの動作が、おっくうでしかたない。
顔を洗うのも、髪を梳かすのも、服を着替えるのも、ごはんをたべるのも、歯を磨くのも、とにかく、なにもかもすべてが、おっくうなのだ。
このままイスに座っていたい。
なーんにも、したくない。
でも今日は、2週間に1回の通院の日。
なんとかかんとか、行ってきた。
電車に乗る元気も、駅まで歩く元気もなくて、タクシーに乗って行った。
さようなら、わたしのにせんえん。
病院の待合室は、何もすることがない。
ラジオでも聴こうかと思ったら、電波が悪くて、聞くことができない。
ああ、困ったなあ。
目を閉じる。
そうだ、ダウンロードした音楽ならば、いけるかも。
いつダウンロードしたかも忘れてしまった曲たちの中から、今の自分にも負担のないものを選ぶ。
片耳から、少しずつ流れ出す音楽。
ゲームもできそうだから、ゲームもやろう。
片耳からちいさく音楽を聴きながら、無心でゲームをぽちぽち。
ぽちぽち。
ぽちぽち。
ほぅ、っとちいさなため息が出て、気がついたら、落ち込んでいたきもちが、溶けていった。
音楽に身を委ねる。
音楽って、こんなに心地よかったっけ。
ああ、この音楽は、同居人氏2が教えてくれたアーティストだ。
風が吹いているみたい。
ほぅ。
何度でも、感嘆の、ため息が出る。
ああ、いま、こころが回復してる。
そう思ったときに、いまのわたしは、回復する力が備わりはじめているんだと、うれしくなった。
レジリエンスの力。
柔軟な力。
かちこちじゃなくて、柔らかくはね返る力。
座り込んでも、寝そべっても、うつ伏せても、またもういちど、視線をあげる力。
世界に対してもういちど、目をひらく力。
そんな力がいつのまにか備わっていることに気がついて、なんだかじんわり、うれしくなった。
こころも、からだも、癒してくれる音楽って、ほんとうによいものだな、と、改めて思った。
これでもうたぶん、大丈夫。
そんなことを、おもっている。