見出し画像

中間管理職のうつ病

今でこそ社会問題になっているうつ病。
一昔前までは口にするのも憚れる病だった。
精神的に弱いとか人付き合いが出来ないとか普通とは違うとか
ネガティブな面が表面化したのが精神病だという認識があって、
人にはとても言えないと誰もが思っていたと思う。

最近になって増加したと言うよりも昔はとにかく弱音を吐かず
ひたすら辛抱するしかない、そういうものだという社会の風潮だったのだ。理不尽にも耐え忍ぶのが美徳でひたすら寡黙に働くことが
立派な責任ある大人だと刷り込まれてきた世代の人間は
自ら弱音を吐くことが出来なかったのだと思う。

最近はうつ病を始めとする精神疾患はメンタル疾患などと柔らかい呼び方になり、認知度もあがって比較的早い段階で本人も診察を受けるなど敷居が下がったのではないかと思う。
ただこれは若い世代には当てはまることで、40代から50代の中堅どころには微妙にそぐわないのではないかと考えている。
この中堅どころに多くなる管理職・責任者・リーダー・主任など肩書きのつくような仕事を任されている人は特に何かと心労が多くストレスが溜まって突然崩れてしまうようなことを耳にしている。
この世代の特徴は50~60代の昭和根性論の気持ちは分かるがそこまで熱くはない。20~30代のすぐ諦めてしまうような粘り強さのなさには同調できない。まさにどっちつかずの狭間で揺らいでいる。
正直どちらの言い分も理解できるし良い部分は大いに賛成するが、両者の言い分にかなりの食い違いというか溝のようなものがあってそこに40~50代がすっぽり嵌まっている。
これを会社に当てはめると上司・管理職・社員(呼び方は様々だが)となり、上からは叱咤叱責され、下からは不平不満や仕事に対する責任感のなさに辟易してストレスは溜まる一方だ。
一般社員であれば気楽に待遇不満や上司の悪口など酒の肴にして発散することも出来る。管理職と言ってもあくまで現場を任されているのだから皆と同じ気持ちだなどど思っていたら酷く辛い現実に直面するだろう。
今までと見る目が違っている。
受け答えに建前を感じる。
本人がいないところで批判されている。
こんなの序の口だ。
でもこれは本当に辛くて悲しい気持ちになる。
孤独感に苛まれる。
共感できる仲間はおらず孤立無援なのだ。
皆とコミュニケーションを取って協力してやっていこうと励ましてもシラケた顔をされて空回りする。
もうどうしていいのか分からなくなる。
これは管理職になったことで雇用される側から雇用する側になったと認識されているからだと思う。
認識まで行かなくてもこっち側じゃないよねと思われているはずだ。
透明な板越し会話しているようなものだ。
そして上司からは管理職なんだからと色々な責任を押しつけられる。
例えば社員がすぐ辞めてしまうのは会社の方針や待遇のせいであって管理職にある者のせいではないのに責任転嫁される。
少ない人数で休日返上で業務をこなしても当たり前だと言われ、更に業務の遅れを責任者なんだからの一言で押しつけてくる。
上からは固い大きな石ころでガンガン打ち付けられ、下は細かい砂粒がサラサラと流れ出るように崩れてしまう。
下の砂を固めて上の石ころを砕いてバランスを取ろうと必死にやっているのがちょうど中間管理職辺りの人達だ。

この年代のうつ病の発症が深刻だ。
なぜなら相当に悪化してから病気に気づくことが多いからだ。
気づくと言っても本人ではなく家族や親しい人から言われてそうだったのかと気づくようだ。
まだギリギリ無理して頑張る世代だけに無理をしすぎて自分が壊れてしまう前に休養を取ったり診察を受けてみるといいと思う。
勧めといて何だが、
実際に休みが取れるかと言えばかなり厳しいのではないだろうか。
状況を把握してるが故に自分が進んで休むことなど言い出せないのが正直なところだ。
こう言うところが日本人の考え方の悪いところだと思う。
周囲の雰囲気に気を遣い相手の気持ちを推し量る。
考えあぐねて良かれと思ったことが裏目に出る。
休んでも仕事のことが頭から離れない。
自分だけ休むことに後ろめたい気持ちになる。
この辺のところを変えて行ければいいと分かってはいても、中小企業や個人事業主あたりの雇用ではすぐに改革することは難しいのかも知れない。
上の意向と現場の業務や教育に大きな隔たりがあってそこを埋める中間管理職に大きなしわ寄せが来てるのではないかと感じる。
そういった状況から自分がうつ病であるという自覚がないのだと思う。
うつ病かも知れないと感じたときの対処法はひとつではないので明確に書くことはできないが、張り詰めた糸がプツンと切れてしまう前に休養と睡眠とリラックスと思考停止が出来る様々な方法に取り組んで行くことが大事だと思う。それこそ仕事と同じくらい全力で体と脳を休ませることが肝要だ。


今日も読んでいただいた方ありがとうございます。

この記事が参加している募集

田中もなかは読者様のサポートをパワーに執筆活動をしています!よろしくお願いします!