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揺り戻しの双極性障害②

前回の続きから・・・

「夢は願望のあらわれだ」と聞いたことがある。

遠い昔見た夢はどちらかといえば支離滅裂で
意味も良く分からないようなものが多かったように思う。
「変な夢だな」そんな感想だ。

願望があらわれた夢は記憶にはない。
見たかも知れないが覚えていないか忘れてしまったのだろう。

双極性障害の診断を受ける前の会社勤務だった頃の夢は最悪だった。
毎日会社の仕事や人間関係で疲弊しているのに、
それをなぞるようにリアルな夢を見る。

夢の中の登場人物たちは
自分に向かって辛辣な言葉を吐き捨てている。
現実に言われていないのに
自分が感じたプレッシャーを夢の中で責め立てる。
たかが夢と自分を奮い立たせ会社に行く。
過度に緊張しピリピリと
周囲の気配に敏感になり必要以上に怯えている。
眠るとまた今日の出来事を夢に見て、
まわりの人は実際に言ったわけでもないのに
自分を非難し責め立てる。
昼も夜も緊張と息苦しさとでついに壊れてしまった。
その後まともに会社に行けなくなってしまったのだ。

それでも夢は続いていた。
登場する人達が言葉で自分を責める。
何か言おうとしても声がでない。
必死に違う、そうじゃないんだと叫ぶが
パクパクと口を動かすだけで一向に声が出ないのだ。

夢は眠っているときに見るものだけど、
その頃の自分は現実と夢の境が分からなくなっていた。

そして今頃になってまた夢を見始めた。

10年以上前のずっと忘れてしまっていた過去の出来事や
その時の感情がまるで昔のビデオでも見ているように夢に現れたのだ。

目覚めた自分はすっかり動揺していた。
心臓がバクバクしている。
すごくリアルだ

記憶の奥底にしまい込んだはずなのにそれは突然現れたのだ。
しかも毎日のように色々な情景が夢に出てくる。
普段思い出すこともない自分でも忘れてしまった記憶が
鮮明に夢に現れるのだ。

そんなことが最近ずっと続いている。
これはどういう事なんだろう。

気力を失った頭で考え思い至ったのが
「揺り戻し」ではないかと言うことだ。
簡単に言えば元の状態に戻ってしまうことだ。
この場合「繰り返し」ではなく「揺り戻し」ではないかと思う。

夢で見る過去は恐ろしいほど鮮明で
体が震えたり神経が過敏になったりして頭が混乱してしまった。

蓋をしていた記憶の箱の中身が一気にあふれ出したようだった。
記憶とはいつまでも残っているのだ。
自分は意図的ではないにしろ嫌な記憶を箱にしまい込んで
蓋をしてどうにか生きて来たんだなと思い知った。

最近では少し落ち着いて夢を見るのも少なくなってきた。
でもまた起きるのではないかと言う
不安と恐怖がいつまでも頭から離れないのだった。

この「揺り戻し」が早くおさまることを願う毎日だ。


今日も読んでいただいた方ありがとうございます。

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田中もなか
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