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目先の粗探しよりもリソース配分で考える方が生産的では?
「指摘をあげることが仕事だと思っている」病の人は、60点の成果物を出すと65点にするための指摘をするし、70点の成果物を出しても75点にするために頑張って粗を探して指摘をする。
内容としては昨日の話題と地続き。
イメージ的な話だけど、60→70点の作り込みと比べて、70→80点の作り込みは所要時間も長くなる。上に凸な関数ってやつだ。
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「ここはこうした方が良いんじゃない?」というご指摘は、それによってクオリティが上がる限りは正しく(中には指摘通りやるとクオリティが下がる誤ったご指摘もある)、誰も否定はできない。
正しい指摘とやるべきかは別問題
譲歩して「正しいご指摘」だと認めたとして、そこに時間を投じて修正すべきか?は別問題だと考えている。
私は着手時に「70点越えを求めるなら、予算つけてちゃんとした制作会社に依頼しろ」と話す。
70点に満たなかったら修正するけれど、事前の申し合わせ通り70点の成果物を出しているのに、「ここ修正したら75点になりますよ」を求めるのは筋が通らんやろと言う。
もちろん、同じ手間で75点が手に入るなら、私も作りかたの探求は惜しむべきでないと思う。だとしても、修正する時点で手戻りなんだから、着手前の要求に盛り込むか、やるとしても次回からで諦めろと思うこともある。
目的から逆算して必要なものを目指す
「指摘をあげることが仕事だと思っている」病の人は、目的から逆算して「これだけのクオリティを目指そう」という視点が欠けているように見える。
例えばSNSのショート動画であれば、アテンションが重要であり、そのための具体策として以下が言われている:
クオリティを求めて撮影や編集を頑張るよりも、尖った企画や台本づくりを頑張るべし。
質を高めた渾身の1本を打つくらいならば、試行回数を増やすべし。
2023年3月発売の「動画大全」のうろ覚え要約ではある。トレンドは日々一刻と変わるだろうけれど、アルゴリズムの判断によって人に届くかが決まる傾向は、2025年時点でさらに加速している。
ショート動画の制作に対して、映像のクオリティを求めるご指摘がある。自動音声のイントネーションに「違和感あります」とか言ってくる。違和感あっても、無いよりマシやから付けとんねん!
ご指摘を受けてチクチク調整して70→75点に伸ばしたとして、どれだけアテンションが伸びるんだろう?別の理屈を持ち出して、費用対効果が言えるのか?
そのあたりの考えなく、指摘者は「違和感があるから直すの当たり前でしょ」と言う。
渾身のショート動画を1本作るよりも、倍の時間をかけて2パターン作って反応を観る方が、合計すると多くの人に観てもらえるだろうし、多くの知見が得られる。
それならば、違和感あっても投稿してしまって、次に取り組む方が賢いように思える。気付いたことを指摘いただく分には良いし、私にとっても観点が増えるから良いのだけど、「費用対効果に見合わないね」という判断はあってよいだろう。
ユーザー体験から逆算する
商品の使いこなせるように、動画を作ってWebサイトや記事に埋め込むような案件があった。
この場合でも、「指摘をあげることが仕事だと思っている」病の人は、目の前に出された動画の粗を探しはじめる。動画単体で観て「こういう対応をやった方が分かりやすい」というご指摘が挙がる。
だけど、最終ゴールを「分かりやすく伝える」ことに置くならば、その役割を動画だけに背負わせるよりも、文字や静止画も組み合わせて記事にした方が分かりやすいんじゃないか?と思う。
イメージ的な話、80点の動画を作るよりも、60点の動画と60点の記事+静止画を組み合わせる方が安くて速くてうまい。それならば「修正する分の工数は記事の制作に充てましょう!」という判断があるべきだ。
回線が細い環境の視聴者や、知りたいポイントが一部に限られる人にとっては、記事+静止画の方が役立つこともある。より多くの人を救える意味でも有用。
こういう提案ができるのは、インハウスで製作をやるメリットだと思う。
「プロに頼まず経費削減」
別の方向からの、仕事で制作に関わる苦悩話をする。
物撮りの教則本に「プロに頼まず経費削減」と書いてあった。私がやっているのはそういうことなんだけど、業が深ぇとも思っている。
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給料いただいて取り組んでいる時点で、私もプロではあるのだけど。「餅は餅屋」で、より専門性の高いプロがおられる。
匠の技や経済圏があるのを、使い放題の内作で済ませて「これで十分やん」に陥るのは如何なんだろう。
70点の仕事をしている私でさえも、あらゆるものが「70点でいいじゃないか」に陥るのは間違っている気がする。
ショート動画をはじめ、ツールが普及することで制作が民主化して、どう作るよりも何を作るかが重要視されるようになった。その波に乗って「これで十分やん」のクオリティが氾濫しがちになった。それで良いところもあるけれど、譲ってはならないところもある。
お財布事情として絞らねばならない状況があると、微妙なのが世に出まくるよりは自分で撮って最低限は担保した方がマシな気もして引き受け、そんな気持ちも知らず無神経な指摘を挙げてくる。苦悩。
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