結婚観

「結婚もしてない人間に結婚生活のことが分かるわけがない」

このセリフを吐かれたのは、とある知人。独身の彼女は、悔しいと半泣き。吐いたのはおじさま。いや、おじいさまかも。もうとっくに某所に召されてらっしゃると思われる。私は存じ上げないが、その筋ではかなり有名な方だったらしい。
で、結婚云々の原因は、源氏物語。
源氏物語の婚姻(でいいのか?)についてあれこれやっていた彼女は、目上の男性に、
「結婚もしていない女に結婚生活のことがわかるわけがない」
と、けんもほろろに、それこそ蔑むような眼で言われたらしい。かなり昔の話だから、彼女の悔し泣きで済まされたのかもしれないけど、今なら何とかハラで大騒ぎになっていたかもしれない。

「どう思います?」と、彼女に聞かれたが、そもそも源氏物語のことは、「これって何のこと?」「これってどういう意味?」と、彼女に教えてもらう立場。どう思うも何もない。
ただ「その人は、ご結婚はされてるの?」と尋ねた。
「はい、されてます。」と、彼女。
そっか…、自分は結婚をしているから、結婚生活のことはわかると思ってるんだ。
「でも、男性ですよね?」と、念押し。
「はい、ご年配の男の方です。」と、彼女。
「じゃあ、結婚がどうのこうの言う前に、女性の心理状態なんてわかりませんよね?」
「ん?」と、彼女。

経験していないことは分かるはずがないというのなら、そもそもその人は、紫式部の気持ちも、源氏に登場する女性の気持ちもわからないってことになる。女性としての人生を経験したことがないんだから。その人が経験しているのは、現代の男性としての結婚生活だけ。そのうえ、一言に結婚っていうけど、現代と平安時代では形式?制度?みたいなのが全然違うのは、ド素人の私にもわかる。
あんた、平安に生きてないじゃん!って話。

「矛盾してますね」と、彼女が。
そのあと、彼女によくそんなところに気が付くと言われたけど、いや、気付くよ。ふつーに。

おっさん、言ってることがおかしいぞって。

力で、抑え込むようなことして楽しいんですかね?
自分の立場を脅かされるのが怖いんですかね?

どう思ったか、なぜこんな行動をとったか、背景に何があるのか、それらすべてがどこでどう効いてくるのか?そういうことを考えて、その世界を深くしていくのが、お仕事であろう人がこういう発言をするんだ…と。

立場が違う、経験がないっていうだけで、理解ができないんだとしたら、理解し合える人なんて誰もいなくなってしまう。

「自分の矛盾にも気付かないほど、追い詰められた可哀そうな人?」
と言ったら、彼女が声をあげて笑った。
















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