落葉もさせて貰えぬ街の木々
久しく通っていなかった道。
見上げると青空に刷毛で吐いたような雲が広がっている。
あまり覚えのない抜け感。
小振りの枝をほぼなくした並木が続いていた。
根元に積もる木の葉もない。
降り積もった落ち葉にたまに足を取られることもあった。
枝があったと思しきところが小さな瘤のようにぷっくりと丸くなっているのが影から伺えた。
落葉前に、それも早い段階で枝を払われたのかもしれない。
確か…夏の暑い時期には葉陰を作っていたはず。
自身で葉も落とせぬまま。
そのうちの一本は樹皮が剥け、正真正銘の裸木になっていた。
面白がって子どもたちに剝かれたものか、自らにしては潔すぎるほどの綺麗さ。
たぶん欅だと。
逆光で黒く見える樹影。
春先にはまた新芽を吹き枝葉を拡げるのだろうか。