人魚の恋
成り果てたたとえ水泡が爆ぜたとて消えぬ思いは溶けて揺蕩う
↑↑
これはShihoさんのウォーターアートに寄せて詠ませてもらったもの
Shihoさんのウォーターアートには、いつもドキドキやワクワク、きゅうっと胸が泣くような感覚を覚えさせて貰ってる。
添えられてあるコメントと合わせるとShihoさんがそのウォーターアートに込められた思いも知ることができる。
今回のアートには、31文字がつけられてた。
あ!あぁーー!!
私もなんか詠みたい!
そう思って、出だしぐらいは浮かんだ気がする。が、その後が続かず…すごすごとコメント欄を閉じた。
実はまだコメント欄に31文字を残すことへのトラウマが完全に消え去ってはいない。
もし書くとしても自分のnoteだな…と思ってた。
それから頭の中は人魚がループ。
人魚といえば、岩の上で悲しそう?に横座りしてる何処かの国の人魚姫の像(昔から宇治川のほとりにある紫式部の像と対で浮かんでくる謎)か、夜に波間から顔だけ出して陸の灯りを眺めてる画が浮かんでくる。
童話の人魚姫は
王子との出会いは嵐が何かで難破して溺れてるのを助けたから
確か美しい声と引きかえに足を手に入れて
声の出ない 身元の分からない乙女として王子には近づけたけど
最後は海の泡となって消えたはず
子供用の童話や絵本は、大抵こんな感じで終わってる。でも、アンデルセンとかのお話って本当は結構エグかったりして、子供用のは後半がばっさりカットされてたり、改変されてたりするって聞いたことがある。
人魚姫…変身してまで近づいた王子と結ばれなかったのに、一人だけ泡になったのか?
船を難破させるのは人魚?女神?だと聞いたこともあるような…だとしたら?最初の難破自体がそもそもは何?なんてことを考えたり
外国の船の先っちょに何か女神みたいなのくっついてなかったか?あれはなんだ?
うまくいけば人間と人魚の異種婚姻譚になるはずだった?(童話にうまくいくも何もないけど)
それとも昔の悲恋物によくある最後は女性側が犠牲になって消えるっていう例のやつか?
なんてことを延々と考えててはググリ妄想してはまたググリを繰り返しているうちに、だんだん頭がShihoさんのアートから逸れてく逸れてく…。
ありゃま!ってことで、Shihoさんが思い描かれた世界観をもっと知りたくてコメント欄を拝見に行くと、他の方への返信の中に私の名が!
それをを見た瞬間にビクン!となった。
え?詠んでみたかったのをどうして知ってるの?
頭の中のループを一度断ち切って、ウォーターアートをじーっと眺めては言葉を探し続けて、出来たのが
恋衣爆ぜて思いが消えたとて消せぬ心は溶けて揺蕩う
Shihoさんのコメントにあった 恋衣 や 溶ける や 弾ける をなんとか入れ込みたくて詠んだんだけど、なんかまどろっこしい感じがして、入れ替えや言い換えをしてるうちに…
成り果てたたとえ水泡が爆ぜたとて消えぬ思いは溶けて揺蕩う
…こうなった。
勢いのあるうちに!
とコメント欄にカキカキさせてもらう。ほんと楽しかった。
題詠もそうだけど、外からの何かで31文字を作る のは、あまり得意じゃない。自分が思うこと感じることの外枠から言葉を集めて来ないといけないからだんだん苦しくなってくる。でも、今回は違った。なんでだろう?
ウォーターアートを見て思うこと感じることが私にもあったから
Shihoさんの思いのカケラだけでもせめて私なりの31文字に封じ込めたいと思ったから
そんな気持ちを吐き出せて良かった。
Shihoさん、ありがとうございました😊
****おまけ****
人魚姫をループしてる間に出来た他のを自分の記録のために。
人魚の歌 六首
刻むのは網膜でなく鼓膜だと藻屑となりてのちに知る夜
儚さを君が嘆いてくれるなら幾度も浮かぶ波間に白く
深く濃き水底に落つ運命ならあの日の君と手を携えて
水底に沈むはどちらか一人だとあの夜の波は囁いたはず
その腕にとどまることが出来ぬなら揺蕩うだけの藻屑も同じ
引き換えたものの重さを嘆くごと浮かぶ水泡は絶えることなく
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