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つぶやき

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31文字におさまらなかった140字程度の短文
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#詩もどき

名前など付けてる暇はないあれこれ停滞を起こさないように粛々と消化していくだけこそっとひとつを取り出しても前と後ろにお行儀よくニコニコ順番待ちをする輩がいるひとつがふたつふたつがよっつ倍々ゲームさながらに名前がないのは無いのも同じなら今手に取ったものすべてが無いってことになるけど?

優しさの在処を探す旅に出よう北の町にあるとか東の街にあるとか噂はたくさん聞くけれど囁かれる言葉の端々に覗くのはすべて出発点の定まらないものそれらを宛に南に2日西に3日と歩き続ける旅に花が咲き花が散り膨らみゆく実を眺め落ちた実を拾い季節を幾つ巡れば優しさを掴めるかはわからないけれど

何も残らないのがいい楽しさ嬉しさは過ぎ去った後の空洞をより感じてしまう悲しさや虚しさには始まりや終わりがあるようで無い何も残らないようなその一時の充足感に勝てるものは所詮無いのかもしれない残らないことを残すのが結局は一番難しいということなのか爪跡足跡残した痕もきっといつか風化する

五月雨のように静かに音も立てず日々際限なくすぅーとふわふわとすとんとさらっと舞ったり落ちたり彷徨ったり傘で凌ぐ者顔や掌を掲げて浴びる者俯いて巻き肩のまま後頭部や肩甲骨で受ける者覆屋に守られて遠くから眺めるだけの者それは確かに平らかに舞い落ち舞い散り広がり届くのになかなか気づけない

空が泣いてると辛いとキミが言い薄っぺらな毛布を頭から被る隠れるのだと言って何から隠れるのだろう何を隠すのだろう空は空のままでキミはキミのままで時折もごもごと動くブルーグレーの物体であることには代わりはなく空もキミもボクはそれをただ遠巻きに眺め待つだけ空もキミもただただブルーグレー