COLORFUL MARBLES
いよいよ年度末。総決算的な追い込みで各現場が多忙を極める中にあって、先日は心温まる機会に同席させていただいた。SDGsの普及啓発活動として何度か足を運んでいた小学校で、総合学習のまとめとして発表会を行うので参上せよとのこと。
ここは少人数の学校で複式学級、5・6年生12名のクラスで何度か出前授業をさせてもらっていた。そのうちの現6年生(・・・卒業式も終わってますが)は前年度にも3度の授業機会があったので2年間お付き合いしたことになる。
同校は令和6年度末をもって休校、近隣の小学校と統合となる予定だ。「教育環境を整え次世代を育成すること」のサスティナビリティを確保するために、「大きな学校への統合」という形で一旦ピリオドをうつ。
何かを守るために何かを変えるということの一つの典型でもあり、何より児童たちから「地域への愛着」が強く感じられたこともあって、自分にとっても思い入れのある学校だった。
始業のチャイムがなる前に撮った写真。
この日は息巻いて一眼レフカメラを持っていったものの残念ながら写真はこれしかない。児童らの発表に聞き入り、シャッターを切ることはすっかり忘れてしまっていた。授業の終盤でハッと思い出したのだが、撮ってる子と撮ってない子がいると、興味のありなしみたいになるのもイヤなので諦めた。
とにかく、ただひたすらに心を震わされた、あっという間の45分間だった。
総合学習で6年生は2年間・5年生は1年間、SDGsについて学んできた。それを自分の将来の夢と結びつけて一人ずつ3分で発表するもの。
職業では、宇宙飛行士・サッカー選手・小学校の先生・動物園のスタッフ・保育士・野球選手・看護師・D-1レーサー(+消防団の分団長)・獣医師・保育士・イラストレーター・音楽教師。
これらが概ね「○○な/○○ができる■■■」という形で語られていく(○○にはSDGsを踏まえた社会課題や果たすべき役割が入り、■■■には職業が入る)。
いくつか抜粋しておく。
(*走り書きのメモによるので、筆者の表現に置き換わっている)
彼らは職業につくこと自体をゴールとしていない。
それで何を果たすのか、世の中のどの部分を自分が支える存在になるかまで思いをめぐらせていた。
その態度に私は感服させられた。
写真を撮るのも忘れてしまったのはやはりやむを得ないことだった。
そういう時間だった。
発表が終わって講評を求められた。胸いっぱいで上手く言葉にできなかった私はまさかの「大きくなったらウルトラマンになりたかった話」を披露し、とにかくこうして一人の大人が感化された意を素直に伝えた。
(一人一人の発表に対する私なりの感想やコメントは家に戻ってから担任の先生にお送りした。御丁寧にクラスだよりにまで掲載いただいたとのことで、彼らのさらなる躍進の糧になれば嬉しい限りである。)
6年生は2年間・5年生は1年間、一緒にSDGsについて考え学んできた記念にビー玉をプレゼントすることにした。そもそもの授業の装置自体が自費で調達したものであり、地元企業から寄附いただいた澄んだブルーのビー玉は除いたので、道義的な観点はさておき問題ないものと理解している。
ビー玉を受け取った瞬間にキャーキャー喜ぶ姿はやはり微笑ましい。あんなにも鋭い感性で世の中を見つめ真摯に将来を語ってた姿とのギャップ。彼らに託してよかったと思った。
しつこくならないように英語表記としているが、内容はこれまでのnoteにも書き綴ってきたサスティナビリティへの向き合い方を凝縮したものだ。
彼らが描いた将来の自分は2030年よりも先の未来のことであるので、ここには"SDGs"という言葉自体は使っていない。
いつか彼らが、確かな学びと気づきがあったことを思い返し、今はなき我が母校への大いなる誇りを感じてもらう・・・カラフルなビー玉たちがそのトリガーになることを願い、私はそんな未来の一場面をデザインした。
おっと、浸っている場合じゃなかった。
彼らが将来(*10年以上先の未来)に前進していくに負けず、私も年度末(*10日以内の未来)の総仕上げがあるので、お仕事に行ってきます。