6月25日 ツイッターはもう見ない。
朝7時、ソファーで目が覚めた。
外から入り込んでくる光が瞼に刺さって、頭が痛くなった。
きっと気圧が高いのだろう。耳の聞こえも悪い。
重い体を引きずって、お湯を沸かした。朝はいつも不安な気持ちになる。晴れていれば晴れている程にだ。湯を沸かした。コーヒーを飲むからだ。これは日常を取り戻す儀式のようなもので、大丈夫、今日もいつもと一緒で大丈夫だから、と自分に言い聞かすために、僕は湯を沸かすのだ。
最近はパックにコーヒー粉が入っているタイプのインスタントコーヒーにハマっている。別にスティックのものでも何だっていいんだけど、パックの方がいい感じがする。湯を注いだ時にコーヒーの匂いが漂って、それで僕は昨日までの僕を取り戻し、毎日が地続きであることに不安と喜びを覚える。
昨日は踊ってばかりの国のライブを見に行った。
間違えていいし、失ってもいいんだなと思えた。
自分が書いた歌詞に殺されそうになると下津さんは言っていた。
30歳まで生きれましたと、本気で言っていた。
素晴らしいライブだった。
ライブ後に、喫煙所でタバコをくわえながらライターが見つからないとリュックに手を突っ込んでいると、目の前にジッポが現れた。顔を上げると、イケメンのお兄さんが、ニコッと笑っていた。
僕は緊張してしまって、ライターあります、ありますと言って、リュックからライターを掴んだままの手を差し出して見せた。
僕は自分が粋じゃないなあと思った。
それなのにお兄さんはジッポを僕に向けたままで、「最高でしたね。」と言って火を付けてくれた。
自分のホッペで火がつくんじゃないかというくらいに赤面しながら、ジッポに顔を近づけ火をもらった。お兄さんは一緒に来ていた友達との会話に戻った。
最後にありがとうございました。と僕は言った。
今日ベンチに座っていると、「髪が長いね。私美容師だから気になんだけど。」とおばあさんに叱責された。
「そうなんですよ〜。切りたいです!!」と言うと、1000円カットでも行けばいいじゃないと、一番飽き飽きとしてしまうやり取りを仕掛けてきた。
髪切れば?
金ないんです。
1000円カットでいいじゃない。
もうこの1セットに飽き飽きとしている。向こうも向こうで、「1000円カットで切ればいい」とは本気で思っていない。
僕が髪型にこだわりがある奴としての回答を待っているのだ。疲れる。
「そうします。」僕は答えた。
続けて「美容師さん何ですか?」と聞くと、無視された。
信じられない。
今日は17時からバイト。何となく外を散歩した。
人を見ると安心する。一人じゃないことが良く分かる。
街行く人、一人一人に生活があることを嬉しく思う。
壊れそうで怖くないのかと、尋ねたくなる。
僕は怖い。
最近は下を向いて歩くことが多い。
ダンゴムシが僕の前を歩いていて、僕は歩幅を変えた。
そんな自分が好きだ。
喫茶店に着くと、隣の席の女の人がハンカチで目を押さえていた。
泣いていた。同席していたもう一人の女性は泣いてなかった。
泣いている彼女は時々、笑っていた。
今日はどんな日だったのだろう。
ツイッターは鬱陶しい。見たいものだけ見ようとは思わないけど、必要なものだけでいい。僕はもう流れていくツイートを見ない。
でもツイートはするの。早く売れて消したい。
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落合諒です。お笑いと文章を書きます。何卒よろしくお願いします。