『社内の「知的確信犯」を探し出せ』②悪人主演のドラマ
『社内の「知的確信犯」を探し出せ』(ロバート・D・ヘア/ポール・バビアク著)は、サイコパスの実態を、サイコパス自らが手掛けるドラマに例え、分かりやすく解説している。ちなみに、サイコパスとは、良心の呵責を感じない人のことである。
サイコパスが監督兼主演のドラマ
サイコパスがいる会社で展開される陰謀ドラマ、これは私が実際に体験していることだけに、真実味がある。
このドラマの脚本家、監督、主役はいずれもサイコパス自身。脇役には、会社の影の権力者が、サイコパスを庇護するパトロン役として登場する。ドラマをスリリングにする役を務めるのは、サイコパスの罠にはまる上司や同僚たちだ。
サイコパス主演ドラマのパトロン役
このドラマの筋書きは概ね以下のようになる。
躍進著しい成長企業に首尾よく入社したサイコパスが、まず手掛けることは、脇役になる人物を物色することだ。地位や評判など、自分の欲しいものを持っているターゲットとなる上司や同僚、そして、会社の影の権力者が誰かを見定め、「自分が正直で高潔で誠実な人間だ」と思い込ませることに精力を注ぐ。
パトロンとターゲットを定めたサイコパス社員は、上司、同僚、顧客らに対して、誠実な人物を演じて、信頼を得ていく。しかし実際にしていることは、他人の手柄を横取りしたり、問題があれば、他のせいにしているだけで、いい加減なことしかしていない。
サイコパス社員の問題に気づく同僚登場
そのうち会社が、誰かに嵌められたかのような危機に陥っていく。ある時、サイコパス社員の同僚が、会社の混乱の原因がサイコパス社員にあることに気づく。同僚は、陰謀を試みるサイコパス社員と表に出ない対決を展開する。それは監督兼主役のサイコパス社員が、最もスリルを楽しむドラマの見せ所だ。
善が負け悪が勝つドラマ
通常のドラマなら、同僚が様々な試練を乗り越え、サイコパス社員の悪事が暴かれ、追放され、会社は危機を脱する、となるだろう。
しかし、現実に様々な会社で起きているサイコパス社員主演のドラマでは、こうはならない。
むしろ悪事を暴こうとした同僚が、パトロン役の影の権力者によって、左遷降格させられたり、不当解雇に追い込まれたりするのである。
そしてサイコパス社員は、悪事を働きながら、素知らぬ顔で、出世をしていく。これが現実に起こるサイコパス社員主演のドラマであり、私自身が間近で見た実体験でもある。
サイコパス社員に洗脳されたパトロン
私が経験しているサイコパス気質のA氏が主演のドラマでは、パトロンが2人はいることが分かっている。
思い込みとは恐ろしい、この2人のパトロンを見ると、洗脳とかマインドコントロールとかが実際にあると思ってしまう。そして、この洗脳、またはマインドコントロールを解くのは簡単ではない。解こうと真実を伝えれば、むしろ悪者扱いされかねない。
とんでもないサイコパス主演のドラマ。これを多くの人が感動と共感を覚えるドラマにするには、サイコパスについて正しい知識が必要になる。そのためにも、お薦めな本である。残念ながら、中古しかないようだが。
今日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。