サンキュー、前橋ポエトリーフェスティバル
季節はずれの茹だるような暑さに覆われた土曜日に、前橋ポエトリーフェスティバルのメインイベントである、「ポエトリーリーディングin前橋文学館」に参加した。
文学館には初の参戦にして、まさかの大トリを務めさせて頂くことになったという、とても楽しみな反面、否応なく緊張が何重にも重なる立場だった。
けれど、演者も観覧者も多くの人が、俺に対して親しみを持って接したり話しかけたりしてくれて、本当に嬉しかったしありがたくて、イベントが進むにつれてその緊張は徐々に解れていく。
実は数年前から今日に至るまで、故郷である群馬のポエトリーやライブイベントに積極的に出演していたのがやはり大きくて。
少し前に諸々あってネガティブな感情が強く、攻撃的な発言や色々な人を傷つけたり、心配をかけてしまって本当に申し訳なかったけれど、これからはより、それらで得た繋がりや関係を大事にしたいと思えた。
さて、イベントは前半・後半に分かれていて、特に印象的に感じたのは、ボブ・ホールマン氏&村田活彦さん、宮尾節子さんの各々のリーディングが、非常にリズム感覚に充ちてグルーヴがあったということ。
彼・彼女らの編み出す言葉や間は、自分に元来染みついたリズムの感覚に呼応するビートがあり、心身が自然と揺さぶられ、本当に惹き込まれた。
また、西原真奈美さん、草間小鳥子さんの手練れた凛とした朗読も心地好く、智乃さんの詠みの殺気と鋭さは俺とベクトルは異なるけれど、改めて親和性を強く感じた。更に、白一匝真さん(※お兄ちゃんと呼ばせて頂いております)のパフォーマンスやMCも、柔らかな強さや心に迫るものがあって素晴らしかった。と書いている内に全員分仔細に書きたくなってきたけれど、あまりにも膨大になってしまうので、この記事では本当に申し訳ない……
途中に司会者の交代や休憩を挟みつつ、多種多様な素敵な表現が繰り広げられ、会場は暖かな空気を保ちながらも、言葉や声の木霊が徐々に渦巻いてゆく。決して過度に張り詰めることなく、けれど、長年続いてきた「ポエトリーリーディングin前橋文学館」に対する誇りや伝統を全員が意識的・無意識的に良い塩梅に共有しているかのような空気感。
――やがて、俺の前の風便りさんが、穏やかな薫風を吹かせ、いよいよ自分の出番になる。
緊張は完全に解れていたはずだけれど、眼前に迫ったトリという大役に対して、再び仄かなプレッシャーが不意に自分に纏わりついた。
そういえば、俺の名前が司会のぴんぽんまむ。さんに呼ばれた時に、男性か女性かも定かではないが、「待ってました!」と大きな声でエールを送ってくれた方がいたのだが、あれは誰だったのだろう? 唯、そのおかげもあって完全に吹っ切れてステージに立つことができた。
何の憂いも無くいつものライブ通り、意図的に不穏に不敵に呟くトーンのMCから一気に狂乱へのギアを上げる。
俺がステージで演ったのは二演目。
一演目は「池袋駅、午後二時」
(基本的には)穏やかで冗談も結構言うし割と気が利く方だけれど、さりげに奇天烈&破天荒な言動や行動が多く、飄々としているパーソナリティの、それらとは真逆の攻撃的で冷たく暗いキレキレな朗読をした。
本質的な部分でもあるかもしれないし、昔の気質を未だに孕んでいるとも言えるし、次の「上毛かるた」の時と雰囲気も全く異なる。何れにせよ、その多面性も表現においては俺の強みなのかな。
二演目は「上毛かるた」
最後は色々な人に楽しみにして頂けていた「上毛かるた」
その時の思いつきで即興でやることも多い変則演目だけれど、この日の為にア行〜カ行で予めフレーズを決めて演ったこともあり、前橋やポエフェス、その場にいる全員に対する心からのリスペクトを込めて。そして、フィナーレを盛大且つ明るくカオティックに飾ることができた。
因みに声の使い方や、ぴんぽんまむ。さんと新井さん、お兄ちゃんを巻き込んだ寸劇というか前説、最後の最後での絶叫と煽りは完全に即興。
感情と表現を変幻自在に操る中で、皆が笑ってくれたり、楽しそうに観聴きしていたのが印象的だった。
――俺が誇りと自信を抱いて刹那に表した全てを、あの日、文学館と沢山の人に灼きつけて置いてきた。来年はもっと良い表現・作品を絶対に演って、遺した記憶を更新するし、さらなる高みに辿り着いて魅せるからめっちゃ楽しみにしていて欲しい。
最後に、みんな本当にありがとう。
すげー楽しかったよ。
https://x.com/DumDumGumNumB/status/1792157838200168770?t=u6cCbqqUpHyMYxQwByQPlg&s=19
即興でブルージーかつ仄かにアヴァンギャルドな香りもあるギターを伴奏で弾かせて頂いた。
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