カーネーション 〈第85作〉 第10週(55)「秘密」 感想 (ドラマ NHK)
昭和16年12月、太平洋戦争が始まる。糸子(尾野真千子)のもとに国防婦人会の澤田(三島ゆり子)たちがやって来て、モンペを強要する。嫌がっていた糸子だが、その動きやすさを気に入り、戦争中、モンペでもオシャレを忘れない女性がいると実感する。ある日、糸子は、戦地から戻って閉じこもっていた勘助(尾上寛之)が仕事に出ていると知り、サエ(黒谷友香)に会わせて元気づけようとするが、大きなショックを与えてしまう。
(以上公式サイトより)
自分で考えて良かれと思ってやった事が、相手にとっては大変迷惑な事だった。
こういうのはよくある事で、私も何度か経験している。今もまさにそんな状態のせいか、今回は非常にズシーンときて頭痛がしてバファリンを服用してしまった。
そんな私情はさておいて。
ここまで何かと糸子の味方でいてくれた安岡髪結店の玉枝(濱田マリ)から、激怒の絶縁宣言。
やや自己中の糸子にとっては青天の霹靂だろうが、安岡家の状況も知る視聴者にしてみると事情もわかるだけに、玉枝の言い分を悪とは言い切れない。世の中こういう事多いよね。
相手の状況を解りきることは、超能力者でもない限り可能に近い。推測する材料は昨今ならsnsも使えそうだが、それも100%真実とは言い切れない。
だからこそ、ある程度な衝突は避けられないが、大事なのはその後だろう。
その場は猛り狂っているだろうから、しばらく日が経って落ち着いてから少しずつ亀裂を修復するしかないんだろうな。
なんでも前もって先回りして衝突を回避するのは、生命の危険や安全性においては最重要課題だと思う。
しかし人間の感情なんてお天気で変わるのだから(アンルイス風)、その場その場で考えるしかないよね。
玉枝さん家は逆境ど真ん中。世の中の不幸が束になって襲いかかってるところ。
かたや糸子は、家族も商売もそこそこ順調になうえ、性格的にもオラコイヤ状態。
決して悪気は無い糸子のアネゴ的気質が、本当は情深い玉枝の極限的状況の地雷を踏んでしまったという構図である。
ああ苦しい。
しかしこれも元々は戦争のせい。
戦争で息子の心を壊され、家業を制限され、ギリギリの生活を強いられている玉枝のような人は当時ほとんどだったと思う。
気のいいおばちゃんを鬼の形相に変えたのは、糸子じゃなくて戦争だという事を、私たちは読み解くべきだろう。
やっぱり凄いよ、このドラマ。