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忘却図書館 10年代ベスト

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忘却図書館 10年代ベスト
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【忘却度50%】ガブリエル・セヴィン「書店主フィクリーのものがたり」

2017年12月25日。    殺伐とした本をたくさん読んで、自分自身も殺伐とした小説を書いてた年だったので、最後くらいほんわかしようと思ったのでしょうか。    ものすごくいい話でした。  偏屈な書店主と、店に置き去りにされた幼女と、2人と仲を深めていく書店営業の女。  もうね、たまらなかったです。いい人たちのいい話。    この時期、蔵書の7割くらいを処分し始めた時期だったんですけど、これは残しました。 <ネットで調べてみる>    私自身の話ですけど、ある書店のプッシ

【忘却度30%】ジャック・ケッチャム「隣の家の少女」

2017年6月16日。    神宮球場で半分くらい読みました。野球見ろよですけど。    このときも充分、遅ればせながらのジャック・ケッチャムだったんですけど、この後、全作品(出てないのは古本でも)読むくらいにハマります。  ケッチャムといえば「残酷・残虐」なので、私にその傾向があるのかとは思われたくないですけど。    両親をなくしてある女(親戚)の家に引き取られた少女。女は少女を虐待し、それを自分の息子たちにもやらせ、地下室に監禁して女性器を焼くまでに至り、という本当にま

【忘却度40%】黒木昭雄「栃木リンチ殺人事件」

2017年5月21日。    事件ノンフィクションシリーズ。  日産の工場で働いていた青年が、職場の人間など数人にいじめを受け、金をせびられ、最終的にリンチのあげくに殺害してしまった、本当に残虐な話でした。  桶川ストーカー殺人もそうですが、本書もそこに至るまでの警察の怠慢も描かれています。 <ネットで調べてみる>    桶川事件もそうなんですけど、裁判を傍聴したジャーナリスト(このときは産経新聞記者)が、最初のイメージ操作(警察報道)と事実があまりに乖離してることに気づか

【忘却度30%】「GIRLY PHENOMENON 60/70 キュートでオシャレなガールズ・ファッションイラスト」

2017年1月19日。    「パンナム小説」はヒロインの70年代ファッションにもしっかり描写していて、しかもシーンごとにコーディネートを変えるというのを自分に課しました。  この本と、2つ後のファッション本は本当に参考になりました。  付箋貼りまくり。 <ネットで調べてみる>    この時代のこういうイラストって、本当に見てて飽きない。

【忘却度20%】「60s+70s Fashion Icons―おしゃれのお手本は60年代&70年代セレブたち! 」

2017年1月22日。    「パンナム小説」のために、2つ前のイラスト本よりも、もっと付箋つけまくりで参考にしまくったのが本書。  もう、全ページの女子ファッションの可愛さにうっとりします。 <ネットで調べてみる>  うっとり。おしゃれすぎ。  でも元編集者としては、これ全点の写真の版権をちゃんと(以下自粛)。  そしてこの後の日記。  1月26日「パンナム小説。これまでのメモを打ち込み、ほぼあとは書き始めるだけ。オープニングシーンの、70年代航空会社の飛行機とスチュ

【忘却度30%】清水潔「桶川ストーカー殺人事件」

2016年12月1日。    事件ノンフィクションブームは続きます。  ストーカー被害に悩んでいたうえに殺害されてしまった女子大生が、警察・マスコミのせいで、遊んでるちゃらい女の子が通り魔に殺されたのように報道されて、しかも迷宮入りに。  その暗部と真相を暴いた名著です。 <ネットで調べてみる>    犯人グループはもちろん、警察、マスコミに憤りつつ、読み終わるとそんなことより、ただただ被害者の無念を思って、涙出てしまいました。

【忘却度50%】一橋文哉「モンスター 尼崎連続殺人事件の真実」

2016年11月25日。    北九州監禁連続殺人事件に続き、こちらもとんでもない事件。  主犯の女と彼女の手下と10数人の被害者の相関図を見るだけでもめまいがするくらいで、当時ネットに「サザエさん一家にたとえるとわかりやすい」という書き込みが拡散されてたほどでした。 <ネットで調べてみる>    個人的には、主犯の女を裏で操っていたヤクザの男が、北九州事件のやり口を詳細に「参考」にしてたというくだりに驚きました。  

【忘却度10%】豊田正義「消された一家 北九州連続監禁殺人事件」

2016年11月21日。    この何年、何十年でいちばん衝撃を受けた本かもしれません。    ある男(死刑囚ですがネットに普通に名前は出てきます)が、結婚した女の両親など家族数人を、巧みな話術や肉体関係でほぼ洗脳状態に陥れて、「通電」と呼ぶ電気ショックなど完全奴隷化、食事や睡眠や会話なども全部言いなりに。  そして用済みの人間を家族同士で殺させ、死体を完全に遺棄させる。    人は(しかも複数人同時に)これほど完璧にマインドコントロールされるのかと、とにかく恐ろしくなります

【忘却度60%】兼高かおる「わたくしが旅から学んだこと」

2016年10月30日。    もう「兼高かおる世界の旅」も知らない人のほうが多いんだろうなあ。    これまで何度も書いてる「70年代パンナム小説」の参考に買ったのですが、これまでも何度か書いてるとおり、海外に行くなんて夢のまた夢だった時代に、様々な国や場所を紹介してくれてたのが「兼高かおる世界の旅」だったのです。(それと久米明さんがナレーションの「すばらしい世界旅行」)  協賛はやはりパンナムでした。 <ネットで調べてみる>    ちなみにその「70年代パンナム小説」(

【忘却度70%】とり・みき「メカ豆腐の復讐」

2016年10月21日。    「シン・ゴジラ」パロディ(最高です)から始まる短編集。    なによりこれに収録されてる「Mighty TOPIO」という作品。  東日本大震災後の、漫画家さんたちのチャリティ企画のようなもので描かれたものなんですが、当時読んだとき、くすっと笑ったほんの数ページ後に大号泣してました。 <ネットで調べてみる>    いま久しぶりに再読したんですけど、もうボロ泣きです。  短編ですけど、「ダイホンヤ」とか「クレープを二度食えば」なんかと並んで、と

【忘却度70%】高橋文子「消滅 空の帝国 パンナムの興亡」

2016年10月6日。    世界でいちばん有名な航空会社がいかに倒産へと至ったかの良質なルポでした。 <ネットで調べてみる>  ちなみにこのころ、マーゴット・ロビーやクリスチーナ・リッチが出てたアメリカのドラマシリーズ「PAN AM/パンナム」(2011年)のDVD7枚組を買って見てたりしてました。  パンナム漬け。

【忘却度70%】クリスティン・R・ヤノ「パン・アメリカン航空と日系二世スチュワーデス」

2016年10月2日。    これまでも書いてきましたが、「70年代飛行機文化」+「70年代洋画吹替」+「70年代東京文化・ファッション・インテリア」小説の参考です。 (書き上げておりますが、いまだ未発表。ご興味ある関係者のご連絡をお待ちしております)    タイトルどおりですけど、当時の日系二世スチュワーデスの仕事から採用から興味深いエピソードがたっぷり載ってます。  私の小説に直接的に引用するものなどはないですが、ヒロインの(登場しない)母親はパンナムのスチュワーデスとい

【忘却度60%】福田ますみ「でっちあげ」

2016年5月1日。    事件ノンフィクションブーム。  この本はすごかった。「子供に死ねとか言うとんでもない暴力教師」というイメージは、実はモンスターペアレントと、それに踊らされたマスコミによって作られたものだった、という。  真実が明らかになるまでの教師の方の気持ちを思うと、読んでる間ずっと胃が痛くなってきます。 <ネットで調べてみる>    後で出てきますが、この事件といい桶川ストーカー殺人事件といい、このへんの優れたノンフィクションを読むたびに、流れてきた情報を鵜

【忘却度40%】キャロル・オコンネル「クリスマスに少女は還る」

2016年2月14日。    初版は90年代だと思うんですけど、いまでも書店に行くと面出ししてることがある、超有名作。    これまでも適当に買ってきて、これ以降も100冊以上は買ってると思うんですけど、(それだけで言うのもなんですが)私が読んだ現代の海外ミステリでは、これがやはりぶっちぎりの1位になるでしょうか。  ミステリとしてというより、普通の小説としてすばらしい。 <ネットで調べてみる>    デビッド・フィンチャーで映画化してほしいなあ。もしくはトム・フォード。