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忘却図書館 00年代ベスト

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忘却図書館 00年代ベスト
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記事一覧

【忘却度60%】フィリップ・ロス「ダイング・アニマル」

2009年12月10日。    本作はいろいろ思うところがあります。  日本ではこの年に公開された、本作が原作の「エレジー」という映画がとにかく好きでした。    初老の大学教授のベン・キングスレーが若い女子大生のペネロペ・クルスと体の関係になる。年齢差から様々なことを女に教える男。しかし男はずるく、女の実家に招かれたときにもわざと無視してしまう。そのくせ、自分は嫉妬しまくる。そして破局。再会するのは、女が病に侵された後だった。    これ、この時点では違いますけど、後年か

【忘却度10%】江口寿史「すすめ!!パイレーツ」

2009年8月2日。  もちろん再読です。  私のすべての原点は「すすめ!!パイレーツ」だと、「江口寿史のなんとかなるでショ!」ですでに書いてるとおりです。  ジャンプでの連載はあえて立ち読みせず、単行本が出るのをひたすら待ってたあのころ。 <ネットで調べてみる>    「おじさんはね、おじさんはね」。  急に思い出したコマ。  あ、すごい。  いま「おじさんはね、おじさんはね すすめパイレーツ」と打ったらそのコマが検索でいっぱい出てきました。

【忘却度70%】アナイス・ニン「小鳥たち」

2009年3月11日。  仲良い読書女子に借りました。  まだエロ小説なんか表に出せない時代、貴族か金持ちのためだけにそんな話を書いたといういきさつの短編集だったと思います。  なぜか唯一しっかり覚えてるのが、絞首刑を見守る群衆の熱狂の中で、見知らぬ男に後ろからやられて絶頂してしまう女の話。  読み直したくなりました。  この忘却図書館書き始めて、倉橋由美子先生「聖少女」以来2冊目で、いますぐにネット注文しました。 <ネットで調べてみる>  ヘンリー・ミラーの愛人でもあ

【忘却度40%】とり・みき「冷食捜査官」

2008年11月28日。  大好きなシリーズです。  これ「犬家の一族」にも数話収録されてて、それを含めて後年の作品と合わせて1冊になったんじゃないかなと思います。  とり・みき先生の作品の中でも私的ベスト5に入るかな。 <ネットで調べてみる>  雷の「ゴロゴロゴロゴロ」という効果音が、そのまま階段から何かが転げ落ちていくものになる小ネタとか(それもポチョムキンの乳母車とか蒲田行進曲の階段落ちとか)、何度も同じコマを見返したりしたなあ。  密度がすごくてお得感が半端ない

【忘却度70%】牧薩次「完全恋愛」

2008年11月26日。  仲良い読書女子の薦めで読みました。  というかそもそも牧薩次先生=辻真先先生には個人的に大事な思い出がありまして。  小学生のとき、辻真先先生の「仮題・中学殺人事件」「盗作・高校殺人事件」などに夢中になり(このシリーズの主人公の名前が「牧薩次」)、初めて作家の方にファンレターを出したのでした。  しかもいま顔から火が吹き出すのを堪えて書きますが、小学生が考えたしょうもないトリックのアイデアまで書いて。  するとそんな子供のファンレターに、辻真先

【忘却度50%】姫野カオルコ「ツ、イ、ラ、ク」

2008年11月7日。  仲良い読書女子が、すごく大好きと言っていたので、出たのはこの数年前でしたが買って読みました。  教師と女子中学生がやりまくる話(要約の仕方)、私も大好きでした。 <ネットで調べてみる>  後年、私は教師と女子高生がやりまくる小説を書きました。  「ツ、イ、ラ、ク」に影響されたわけではないのですが、その読書女子に読んでもらうことを第一の目的にしてたので、遠回しに影響されてたのかも(どっちだ)。

【忘却度90%】アガサ・クリスティ「スリーピング・マーダー」

2008年10月14日。  この日の日記。「単行本持ってるが段ボールから出すのが面倒で、アガサ・クリスティ「スリーピング・マーダー」文庫を買う」。  「ABC殺人事件」「予告殺人」に続いての、クリスティ再読3冊目です。  そしてこれ、書いてるとおり単行本持ってるのです。  中学1年生のころ、近所の母親の友達のおばさんがクリスティの文庫を全部持ってたので、片っ端から借りて読んでました。  ただ当時、まだ文庫化されてないのが数冊あり、その早川書房の単行本を数冊、おこづかい貯め

【忘却度70%】立花里子「絵ロ本」

2008年9月1日。  立花里子さん好きは「めちゃイイ!」で書いてますが、これはご自身の著書です。 <ネットで調べてみる>  2008年にすっぱりと引退されましたけど、いまもお美しいんだろうなあ。

【忘却度50%】コーマック・マッカーシー「ザ・ロード」

2008年7月6日。  何がきっかけで読んだのかは忘れましたが、名作です。  近未来、荒廃した世界を、南に向かう父と息子の話。  この数年後、ヴィゴ・モーテンセン主演で映画化もされたのですが、そちらもすばらしいです。  話は完全に覚えてますが、その記憶がもはや映画のほうが大きいと思うので、大好きですけど忘却度は50%としました。 <ネットで調べてみる>  ある事情から人口が半分となった日本で、物言わぬあるものを連れて、ときに暴徒に襲われ、ときに集落の人々に助けられながら

【忘却度40%】「Stewardess : Come Fly With Me!」

2008年5月5日。  これもエアラインブームの2冊目です。  前の「Airline Design」ほどではないですが、これもビジュアル豊富。60〜70年代の飛行機とスチュワーデスは本当に絵になります。 <ネットで調べてみる>  そしてこの約10年後、ずっと私の中にあった「70年代の海外への憧れとエアライン文化」は、「70年代東京の街やファッション」と「70年代、洋画吹き替えのアテレコスタジオ」と結びつき、1冊の小説となりました。  自分の作品の中でも5本指に入るくらい

【忘却度20%】「Airline Design」

2008年5月5日。  昔から漠然とあった、「昔のエアラインブーム」の始まりです。  自分が子供のころ、あるいはそれ以前の飛行機、空港、海外旅行などまだ夢だったころの外国への憧れ。私、なぜかずっとそういったものに強い郷愁を感じていました。  そしてこの数日前、銀座の博品館でドイツherpa社の飛行機ミニチュアを初めてみてぐっときてしまい、さっそくアマゾンでまずパンナム機から買ったのでした。  そのとき一緒にエアライン関係の本も3冊購入(2冊は洋書)。  その中でもこの「

【忘却度30%】アーサー・C・クラーク「幼年期の終り」

2007年11月25日。  これも「星を継ぐもの」同様、いまさらすぎましたね。  古典中の古典、名作中の名作。  人類の終焉説、この小説に賛同です(子供か)。 <ネットで調べてみる>  ちなみにこの日の日記。 「息子と2人で、11:20品川発のぞみで大阪。ユニバーサルポートホテル。初USJ。スパイダーマン、バックトゥザ・フューチャー、ウォーターワールド、夕飯、ET。  眠れず深夜、アーサー・C・クラーク「幼年期の終り」読み始める。5:00まで」  なんでそんな日に読んで

【忘却度30%】谷崎潤一郎「痴人の愛」

2007年9月18日。  前項に同じく、「硬くない人」(仮題)の参考で再読しました。  これも若いときには、主人公の男の馬鹿さ加減が理解できないんですけど、年を取ると、あまりにもあっさりと(自分が同類か否かはともかく)わかってしまう。 <ネットで調べてみる>  3回映画化されてるんですが、私は最初の宇野重吉さん・京マチ子さん版を見てなかったです。  2回目は船越英二さんと叶順子さん。  いちばんよく覚えてるのは3回目の小沢昭一さん・安田道代さん。ナオミが誘惑する青年は田

【忘却度30%】檀一雄「火宅の人」

2007年9月18日。  このとき書いてた(若い愛人持ちの初老の男が出てくる)小説の参考にと書いました。中高生のころに読んでたと思います。  このときほど、本は二度読むものだなと思ったことはありません。  子供のころ、まったくわからなかった難しい話が、この年で読むとあまりにもわかりやすく簡単に腑に落ちたからです。  一応、檀一雄(もう娘の女優、壇ふみさんも知らない人が多いんだろうなあ)が子沢山の家庭を持ちながら、愛人と放蕩生活を送る話です。 <ネットで調べてみる>  ち