後鼻漏と上咽頭炎と自律神経
後鼻漏とは、鼻水が喉に流れることで生じる不快な症状のことです。
健康な人でも1日2リットル近くの鼻水が喉に流れ落ちますが、サラサラとしていて気になりません。
鼻水の分泌量が増えたときや、鼻水が粘液性や膿性になったときなどに、鼻とのどの間(上咽頭)に引っかかった感じが気になってきます。
後鼻漏が気になる場合、副鼻腔炎、上咽頭炎、アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎、急性鼻炎の後期、慢性鼻炎の可能性があります。
アレルギー性鼻炎の場合はサラサラした後鼻漏になります。
副鼻腔炎と上咽頭炎のときは粘液性や膿性の後鼻漏になります。
後鼻漏がある方は、首や肩のこり、頭が重い感じ、体のだるさを伴うこともよくあります。
「朝起きると痰が絡む」「のどがイガイガする」「のどの奥が詰まった感じがする」といった自覚症状を持ちながら生活している人は意外に多いです。
これらの不快な症状の根本原因は鼻の奥、上咽頭にあります。
風邪をきっかけに腎臓病、関節炎、膠原病、皮膚疾患など様々な疾患が発症することは古来より知られています。この万病の元に、慢性上咽頭炎が関わっています。
上咽頭は、細菌やウイルスなどの病原菌を最初に取り込むというだけでなく、免疫器官としての働きがあります。病的炎症によりリンパ球などの免疫を担当する細胞を活性化させます。すると、これらの細胞が産生した炎症物質(サイトカイン)が血流に乗って全身を巡り、腎臓、関節、皮膚などに炎症を引き起こします。
上咽頭炎は免疫システムを介して二次疾患を引き起こしますが、それだけではありません。
自律神経の調節異常を介して、めまい、嘔気、胃部不快、便通の異常、全身倦怠感、うつなどの不快に感じる様々な症状も引き起こします。
上咽頭は細菌やウイルスの通り道として免疫細胞が集まっているだけでなく、頸部から内臓まで広く分布する迷走神経の重要な通り道です。自律神経中枢は上咽頭の近傍に位置しています。
上咽頭に異常があるときの関連痛には、首や肩の凝り・頭痛などがあります。めまい、偏頭痛などの自律神経系の乱れが関与すると考えられる症状をもつ方には、しばしば激しい上咽頭炎が認められます。
上咽頭炎の症状は多彩です。後鼻漏や上記症状のほか、鼻とのどの間に痛みや違和感、乾燥感が生じます。痰、咳払い、声が出しにくい、鼻の奥がにおうといった症状もあります。耳の病気(急性中耳炎、滲出性中耳炎、耳管狭窄症)の原因となることもあります。
対策としては、のどの粘膜の乾き、体の冷えを防ぐことが重要です。
こまめに温かいもの(ノンカフェイン飲料)で水分を補給しましょう。首、手首、足首を温めましょう。
日々適度な運動を心がけ、睡眠を十分にとってください。