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「三毛猫ホームズの推理」赤川次郎
小学6年生になったときから、親父と毎週行っていた図書館に一緒に行かなくなった。
理由は、もう小学6年生にもなると大人向け書籍が読みたくなってくるものなのだが、児童書コーナーから出て読む本を探していると、必ず親父が「まだ早い、お前はあっち」と追い払われたのだ。
なので、なにかと理由をつけて週末の図書館行きは妹に任せ、平日の学校後に図書館に一人で向かうようになった。
その時に読んだ、児童書じゃない本が赤川次郎の作品群だった。
赤川次郎と言えば非常に多作で、ミステリーとちょっとした恋愛を題材にしたシリーズものと、若干どろどろしたノンシリーズ、という記憶。
シリーズものでは、本作からはじまる「三毛猫ホームズ」シリーズ、「三姉妹探偵」シリーズ、「幽霊」シリーズ、「子子家庭」シリーズが有名かと。
でノンシリーズで一番有名なのは、何度も映画化されている「セーラー服と機関銃」だね。
角川映画になる作家と言ってもいいぐらい、映画化されている。
あとそうそう、「二人」という作品も良かった。
ミステリーでもドロドロでもないが、NHKでドラマ化された作品で、涙涙な話だった。。気がする。
親父なんかはミーハーなお手軽作家みたいに酷評していたけど、大人になりたいと背伸びしているティーンの始まりだったあの頃の自分には、読みやすくちょっと大人の世界を見せてくれる楽しい作家だった。
ミステリー小説を読んでいると、作品の傾向に流行があったのを知る。
もちろん最初はシャーロック・ホームズからはじまる探偵物。
推理小説はずっと探偵小説と言われていたぐらい。
その後、日本では松本清張の作品が社会派とされて流行する。
日本人の”さが”なのか、人間とはそういうものなのか、今までのもの・流行の対極にあるものを蔑む。
社会派が正しい、探偵ものは幼稚、「名探偵みなを集めてさて、と言い」はダサいという風潮になったと。
でしばらく日本では名探偵物がでなかった。。島田荘司は別、今度記事書くね。
で綾辻行人の「十角館の殺人」でまた、新本格というムーブメントがおき、名探偵物が流行した。
赤川次郎は名探偵不遇の時代に、名探偵を猫にすることで一石を投じた人だと思う。
読みやすく、楽しく、猫探偵で名探偵ものの楽しさを教えてくれて、当時何人もの読書大好き少年少女が大人の本を読むきっかけになったと思う。
本作は大学で起こった女子大生殺人事件を、刑事の主人公、その後輩刑事、刑事の妹、そして不妊手術をしてからやけに賢くなった三毛猫のホームズが解決するという話。
後輩刑事はこの妹さんが好き。
妹と刑事は二人で暮らしていて、妹には実はちょっくら暗い過去があって恋愛に奥手。
刑事は女と毎回うまくいきそうでいかない、刑事なのに血を見るの苦手。
とキャラクターとその相関が漫画みたい。
でも楽しい。
シリーズ山ほど出てて、どれを読んだか、どれがどんな話だったか全然覚えていないのだが、夢中で読んだってことは大好きだった、つまり面白かったんだろうな。
久しぶりに実家近くの図書館に行って、あ行の棚を見てみるかな。