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「死にたくなったら電話して」李龍徳

久しぶりに止めれなくて、深夜2時まで読んで読み終わった。
昨晩の話、そのあと1時間は強烈な読後感に襲われて、眠れなかった。

本作を知ったきっかけは帯コメントも書いているユーチューバーのにゃんたこの影響。
APEXというゲームが好きで、でも下手で。。
上手い人のを見て勉強しようと思って動画をみた。
Vtuberやユーチューバーが動画をあげていて、APEXというよりもゲーム配信文化にはまった。
そこで知ったのがにゃんたこ、ゲーム配信も面白いが、本をよく読んでおり、ワードセンスも面白く、エッセイの出版もしており、虜になった。
彼女が紹介、その動画がきっかけか7年たって文庫になったのが本作。

主人公は居酒屋でバイトしながら大学を目指す、三浪の浪人生。
彼が、仕事後に行った朝キャバクラで出会った、ちょっと変わったキャバ嬢初美に猛烈にアピールされ付き合うことになる。
初美は、闇に目を向ける人だ。
「禍福は糾える縄の如し」という言葉がある。
楽しいこともつらいことも半分ずつ人生にはあるという意味、社会・人類の歴史もそうだ、恐ろしい闇もあれば希望となる光もあると俺は思う。
初美は光をみない、闇しかみない。
人類の暗黒歴史に興味を惹かれ、現代の不条理に目を向ける。
そして、光を説く人々を偽善者と決め断罪、不条理を体現している人々を猛烈に批判する
そんな初美と初美の知識、行動に魅せられ、主人公はどんどん初美とシンクロしていく。
そして出る、初美の「心中しません?」という言葉。
こんなにつらいのであれば生きていく意味はないんじゃないかという問いかけ?
そんな二人が、二人だけの価値観で絶望へとゆるやかに進んでいく。

人類の黒歴史に惹かれてしまった、その考察とか。
絶望に向かう人々を追いかけてしまう心理とか。
背徳的な性描写に対する感想とか。
様々な思いはあるが、一番感じたのは、読んでいく中で俺も初美に惚れていたということだ。

初美がそういう人だとは思わない。
闇に惹かれること他人に攻撃的になること、絶望に魅入られることはある。
誰だってある。
そのパーセンテージ、バランスが極端だったとしても、生きたいという気持ち「生」に対しての興味がないことはないはず。
そう信じたい。
同種、もしくはブースターとなってしまった主人公と一緒でなければ、転がるように絶望に向かわなかったんじゃないかと信じたい。
主人公が自分だったら、初美にもっと違うアプローチをして、違う人生に進ませることが出来たんじゃないか。
とか、もんもんと考えること1時間だった。

摩耗したおっさんの心でこんなになるんだから、、思春期から20代とかで読んだらどんななんだろう?
そしてこの本への没入具合でその人の闇の深さが見える気がする。

この本を教えてくれたにゃんたこは大丈夫かな?
40代にして、初めて誰かのファンになるという経験をしている自分としては、ちょっと心配。

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