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「残穢」小野不由美
図書館で借りて読んだ。
家に置いときたくない、とまで言われていたホラー小説だからだ。
”障る”という言葉の意味を教えてくれた作品だ。
呪いというのは誰かが能動的に他者に害を与えようとしてするもの、それによって被害者は”呪われる”。
”障る”は能動的な他者の意志は存在しない。
”障る”とは、そこにあった穢れに触れてしまったことによって起こる現象。
”呪われる”ということは、逆恨みという言葉があるから一概には言えないが、被害者側にも非がある場合がある。
だが、”障る”の場合は本当に偶然、それゆえに誰にでも起こりうる。
イメージで浮かんだのはペンキ塗りたてのベンチだった。
もし誰もペンキ塗りたて、って貼り紙してなかったら、色んな人にペンキがついちゃう。
本作は、ある女子大生が自分の住むマンションで発生する怪異について、作者に手紙を出すことからはじまる。
作者は実話怪談ものを書くことがあり、経験談を募集していた。
実は彼女が住む部屋だけでなく、マンションのあちこちで怪異が起こっていることがわかる。
そして女子大生と作者はその原因を探る為、その土地で起こった出来事を1つ1つさかのぼっていくのだ。
マンションの前は?その土地には何が?
作者が登場することによって、どこかノンフィクションのような雰囲気を漂わせている。
そこが怖い。
今のご時世、先祖代々の土地に住んでいる人は、そんなにいないと思う。
縁もゆかりもない土地を、不動産情報や住みやすい街の情報を元にチョイスしている。
その建物に、ましてやその土地に何があったかなど知らずに。。
この本が、「読んだ後に怖くなる」と評判になっている意味がわかった。
例えば俺が買った、今住んでいるこの部屋、過去に誰が住んでいたか、この土地で何があったのか、想像すると怖い、とにかく怖い。
そして作者は十二国記の小野不由美。
すごい、とにかくすごい。