「吉原御免状」隆慶一郎
鶯谷駅には降りたことないのだ。
本当、本当だよ。
鶯谷といえば、特殊なお風呂屋さんであろう。
石原前都知事が一掃したとされる業界だが、鶯谷は根強くお風呂屋さんが頑張っているのだそうだ。
これは人間の欲がそれほど深いということだろう。
簡単に快楽を得たい男の欲か、簡単に金を稼ぎたい女の欲か、その構図を利用して金を稼ぎたい何者かの欲か。。。
そんな色街、吉原。
花魁、遊女、最近では鬼滅の刃のアニメ新シリーズでの舞台となっている。本作は吉原が舞台の痛快時代劇だ。
時代物といえば山田風太郎、ただ時代物というより伝奇物かもしれない。
そこで出てくる柳生十兵衛がかっこよくてファンだ。
そう、山田風太郎の作品では柳生は善の立場なのだ。
反対に、怪しい術にて死後蘇った宮本武蔵が出てくるのだが、もちろん悪物の側だった。
なんと本作ではその構図がまったく逆だったのがよかった。
この本の中の柳生は裏柳生と言われていて、幕府の命令で非道なふるまいをする暗殺集団だ。
主人公は創作されたキャラクターなのだが、彼に剣を教えたのが宮本武蔵ということで、先に書いたように山田作品とは反対の構図だった。
面白い。
柳生っていろんな創作で、ほんとにどちらにも描かれるので、興味深い。
あらすじはこう。
宮本武蔵に育てられ、剣を教え込まれた青年が主人公。
この主人公はやんごとなきお方のご落胤。
母親ともども亡き者にされそうになっていたところを、武蔵に助けられその後育てられる。
で、彼は江戸の中で自由な場所、ある程度の自治が認められている色街、吉原を巡った暗闘に巻き込まれる。
キーとなるのが、かつて家康から吉原に与えられた「神君御免状」。
これになんらかの秘密が隠されているらしく、老中が裏柳生をつかって奪おうと暗躍、奪われると吉原がつぶれちゃうのかな?
それで主人公が剣を使って柳生と闘うという話。
幕府の陰謀、武蔵仕込みの剣術と柳生のぶつかり合い、吉原なのでちょっと艶っぽい話に、「新君御免状」の謎と、盛りだくさんの冒険活劇だった。
時代小説面白いじゃん!!となった作品。
調べてみると、作者は漫画化されている作品が多かった。
「一夢庵風流記」という小説が、パチンコにもなった「花の慶次」の原作だった。
知らんかった。
時代エンターテインメント作品の上手な人なんだ!!
花の慶次、パチンコも面白いんだよねぇ
で、ここまで書いてなんなんだけど、読んだのは高校生の時代だと記憶している。
その為、一番大事な「新君御免状」の秘密を覚えていないのだ。
すんまそん。
読み直さねば!!