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「その女アレックス」ピエール・ルメートル
悪者を懲らしめる、そんな話は見ていてすっきりする。
村人をいじめている悪い大名が、怒りの大魔神に退治される。
いじめっこたちが破天荒教師によってお仕置きされて、改心する。
必殺仕事人や水戸黄門も、いじめられた人々のところにヒーローがやってきて悪者を退治する。
ヒーローに頼らないパターンもある。
本人が力をつけて仕返しをするのだ。
これらの作品はすっきりする。。。のだが、条件がある。
ここまで書いた通り、被害者は「いじめられる」程度、親を殺されるとかはあるが、虐げられる本人は物語の都合か目をそむけたくなるほどの仕打ちは受けていない。
もし被害者たちがあまりにも惨い仕打ちを受けていると、加害者がヒーローや本人達に仕返しされたところですっきりしない。
決して被害を受けた人たちは癒されることがない、と考えると虚しさを感じてしまう。
この作品はミステリー、予想もつかない展開だしまさに二転三転という表現がふさわしい作品だ。
なので、前述の感想がストーリーのどこについてのものなのか、詳細を語ることはネタバレになるので出来ないが、あまりにも惨い仕打ちが出てくる。
それがつらくて、読み終わった後すぐにブックオフに売りにいってしまったのだ。
真の悪者に裁きがくだっても、全然すっきりしない!!
本作品は作者のシリーズものの1つらしいのだが、前後を読まなくてもこれ1冊で楽しめる。
物語はある夜、女性が拉致された現場を目撃したという通報からはじまる。
それを捜査するのが、シリーズの主役となる刑事だ。
最初は本当に事件なのかどうかもわからないのだが、徐々に実際に拉致が行われたというのがわかってくる。
また、拉致された女性がなんとか脱出しようとする様子が描かれる。
女性はなんとか監禁場所から逃げ出すのだが、これで事件が一件落着とはいかない。
そこからこの作品の本当の物語が始まる。
被害者が本当に罪のない被害者なのか?
加害者は本当に単なる犯罪者なのか?
被害者と加害者がくるくると万華鏡のように変化してく、まさに「二転三転」ミステリーだ。
そして心をえぐる残酷な描写、エグい。
ただ、面白い。
売らなきゃよかった。。もう一度読みたいと思う自分がここにいる。