「七夕の国」岩明均
漫画の紹介。
全4巻で完結している。
七夕と言えば短冊に願いを込めて笹につるす行事。
その程度の認識。
最近では面白い願い事やせつない願い事の画像が話題になったりする。
「おじいちゃんがカエルになりますように」
「お父さんに仕事が見つかりますように」
などなど。
なぜおじいちゃんをカエルにしたいのか?謎や。
では、本当の七夕はどんなものか?とWikipedia調べてみると、すごい量の情報が出てきた。
非常に古くからの行事で、諸説あるそうだ。
一度腰を据えて読んでみよう。
話を戻すが、この七夕という風習が物語のキーとなる。
作中、結末に近くなるまで七夕が物語にとってどれほど重要なのか、主人公も読者もわからない。
その謎が明らかになった時のインパクトは、まるで推理小説ですべての真相が明らかになった時のような衝撃があった。
あらすじは下記の通り。
超能力を持つ主人公、超能力といっても紙や下敷きに小さい穴をあける程度、作中でも千枚通しがあれば十分と馬鹿にされている。
それとは別に大学教授が1名行方不明となる。
主人公の通う大学の教授だ。
実はこの二人、ルーツは同じ町、同じ里なのだ。
その里の秘祭、主人公以外の超能力者「窓を開くもの」と「手が届くもの」の存在、文献から紐解かれる七夕の真実などの舞台設定が、物語の中で複雑にからみあいながら、里の秘密へと集約されていく。
SFであり、歴史物であり、ミステリーであり、すこしコメディ要素もある。
盛りだくさんな作品だった。
それだけの要素があるのにも関わらず、4巻でまとめているのは作者の力量だと思う。
ダラダラ長けりゃいいってもんじゃない。
作者の岩明均の代表作といえば「寄生獣」だろう。
これはアニメ化もされている。
このSF漫画の傑作も10巻でまとまっていてちょうどいい。
短いながらも密度の濃いストーリーだ。
この作者は現在「ヒストリエ」という古代ギリシャ文明を舞台にした作品を連載している。
こちらは未完で早く続きが読みたくてしかたがない。
また、日本の歴史ものも書いている。
「雪の峠・剣の舞」という1巻完結の漫画で、これも面白い。
様々な舞台設定で短くも濃密な作品をだしており、正直いってハズレなし!!と断言できる。
あと、人間の野蛮さや残酷さの表現も上手く、それが大昔の無慈悲な世界にマッチしていてたまらない。
戦国時代、江戸のはじめ、古代ギリシャ、現代、次は一体どんな舞台での物語を見せてくれるのだろうか。
楽しみすぎる。