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「教場」長岡弘樹
「こんな〇〇は嫌だ」
大喜利の定番である。
「犬からみた、こんな飼い主は嫌だ」
・イヌと呼ぶ、良くてダックスフンドと犬種で呼ぶ
・「おい」とか「ねぇ」とか「お前」とか夫婦みたいな呼び方をする
・なにかと猫と比較してくる
・「ホントに先祖は狼なのぉ?」とうるさい
なんつって、大喜利って、難しいね。
本作「教場」は警察学校が舞台の小説である。
片目が義眼の風間教官が、生徒たちの間でおこった事件や、学校で発生した謎について対処する、という連作短編集。
それらの解決に合わせて警察官としての技術、物の考え方などが描かれる。
自分としては、冒頭で描かた尋問のやり方が、なかなかに興味深かった。
で、そんな出来事の中、生徒が脱落していく。
警察学校は人を育てる場所ではなく、適正のないものをふるい落とす場なのだ。
警察学校だよ!!警察官になって正義を遂行したい、という思いがどこかにある人々のあつまりなんだよ。。なのに、よくもまぁたくさん事件が起こるもんだ。
こんな人たちが警察官になったら不正とかしそうだ。
あー怖い怖い。
ぜひ風間教官にはふるい落としを頑張って欲しい。
「こんな人が警察官になったら嫌だ」だ。
この特殊で閉鎖的な空間で、1冊仕上げなければならないからしょうがないとはいえ、捜査手法等のリアルさに比べ、事件が多発する警察学校という非リアルがアンバランスでちょっとだけ入り込めない感じがあった。
ただ、風間教官の洞察力と推理は非常に面白く、小説としては満足。
あと面白かったのが、短編集だが一話で完結しないこと。
事件が起こる、風間教官が解決するもしくは未然に防ぐ、とここまでは進むのだが「ことの真相」が描かれないで次の短編に行く、で次の短編で前回の短編の主人公が事件を思い返すことで読者も真相を知るという構図が多い。
物語は被害にあう生徒の視線で描かれて、探偵役の風間教官は謎多く描かれている。
風間は真相をみなの前で明らかにするのが目的ではなく、あくまで事態の収拾とふるい落としが目的なので、被害者にすべての真相を語ることはしない。
風間のミステリアスな部分を強調したい演出だったのかも。
ちなみに、以前も書いたが木村拓哉主演でドラマ化されている。
ドラマでは残った生徒たちがそれまでの事件を糧に、警察官として頑張る決意を固めるみたいなシーンが追加されていて、きれいに収めていた。
原作との違いがいい方向に進んだ例だと思う。
そして川口春奈が可愛かった。
いやー川口春奈が可愛かった、本当に可愛かった。
Youtubeチャンネル見よ。