【シリーズ読書感想6】電波女と青春男
シリーズの読書感想を書くのは久しぶり。
なかなかシリーズ読破は難しいですね。
今回は、入間人間さんが描く、宇宙人の影がちらつく青春もの『電波女と青春男』です。
全11巻の表記になっていますが、8巻+外伝1巻+電子書籍再録短編2巻という構成です。
入間人間ファン以外は、一巻だけでいい
正直、一巻だけで十分な気がします。
普通の高校生の日常を、小洒落た表現で書き綴る……というコンセプト。
なので、一巻に二時間半かかります。
が、二巻の後書きで入間さん本人が言っているように「続くとは思わなかった」。
一巻でキリがいいし、というか、二巻以降は巻数を追うごとにコンセプトが行方不明になっていくんですよね……。
三巻ぐらいまでは、「宇宙人は本当にいるのか?」みたいなミステリー要素も入ってきて、そこそこ面白いんですけどね。
最後の方はかなりグダグダで、主人公の妄想で一冊作っちゃったり、挙句には色違いレベルの差しかない一巻リメイクをやり出したりします。
その頃になると、一冊一時間半とラノベの常識レベルの時間で読めますが、「うーん、何がしたいんだ」という読みの苦痛が少なからず。
それでも、読もうと思えば読めちゃうのが、入間人間さんのスゴサではあるんですけどね。
まぁ、でも、『壊れたまーちゃんと嘘つきみーくん』から『安達としまむら』までの入間人間史と思えば、面白さもなくはないですね。
あのサイコパスな世界観から、ゆるーい日常ものへの転換期に『電波女と青春男』があったんだ、と。
みーまーで闇やら病みを全部使い果たしてしまって、その後に作風を試行錯誤している過程が、この電青である、と思います。
『安達としまむら』はゆるくこのシリーズとも関連があります。
あだしまが好きだからこちらも履修、というのはアリです。
うん、よっぽど入間人間さんという作家が好きでないと、かなーり苦痛な読書になると思います。
とはいえ、一巻は十分面白い。
独特な表現は他にないですし、ストーリーや構成もラノベというより新文芸としても楽しめる。
だからこそ、シリーズとしては瑕疵が目立つのが余計に残念です。
上げてから落とされたみたいな。
うん。
一巻だけ読むのがオススメです。
以上。
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