『そして私たちの物語は世界の物語の一部となる インド北東部女性作家アンソロジー』
世界の文学を読む二冊目は、インド北東部のマイノリティーな女性たちの小説を収録した『そして私たちの物語は世界の物語の一部となる インド北東部女性作家アンソロジー』です。
インド北東部って……どこ?
だいたい、キャプションのインドの地図で、赤くなってる部分です。
この本を借りてきたときは、「インドの北東部? 逆三角形だから、右の角のとこ?」と思ったのですが……。
ひょにゅんって繋がってるところでした。
インドの国土がそんな形をしていることさえ、知りませんでした。
インド北東部は、アルナーチャル・プラデーシュ州、アッサム州、マニプル州、メーガーラヤ州、ミゾラム州、ナガランド州、トリプラ州、シッキム州の8州が属する政治区分。
ネパール、ブータン、中国、ミャンマー、バングラデシュに囲まれています。
この立地だけで、その複雑さがわかるようなもの。
隣国とは国境問題があり、たくさんの民族がいて、紛争のリスク、そして本国インドへの不満があったり……。
などなど。
『そして私たちの物語は世界の物語の一部となる』を読む前に、インド北東部について予習をしたいのなら、以下のサイトを参考にするとよさそうです。
読書感想
ここから、本を読んでの感想になります。
わたしとしては、こういうことを考えたーーという内容を含みます。
ネタバレがありますので、ご注意ください。
日本と近しい国、らしい。
一応、仏教圏ですしね……。
先に読んだ『砂漠の林檎 イスラエル短篇傑作選』よりも、すんなり物語に入っていけました。
収録されいてる小説も、レイプやDVなどがテーマになっているものも。
そういう社会状況は日本と似ているかもと思う。
ただ、テロや内戦が日常のすぐそばにある……という点はかなり異なっています。
社会的に近しい部分と、やはり異国の部分。
その両面を感じる読書になりました。
戦争を描く、立場。
数ある中でも印象に残った一篇があります。
中国が隣。
ということは、第二次世界大戦では、日本軍がきた土地である、ということでもあります。
村にきた日本兵の一人との、短い結婚生活……という話があるんですけど。
これ、日本人側からは書けないよなー……と。
だって、ぶっちゃけ、現地妻でしょってなっちゃう。
そもそもこの時期の日本軍は、「軍人より先に女性(風俗)が進出した」とかまで、後々の女性学史で書かれちゃうくらいなんですよ。
大東亜共栄圏の理想に、アジアの国々は「植民地支配国から独立するのを、列強に追いつこうとしている日本が助けてくれるのでは?」と期待したらしい。
そういう期待が、こういう小説の原動力になっているのかなと思ったり。
日本側でも、終戦後にはアメリカ兵とのラブロマンスみたいな小説が書かれたのかな? とか思ったり。
これはちょっと探してみたいですね。
しかし、第二次世界大戦のラブロマンスが現代小説として出てくる。
日本の小説で第二次世界大戦という場面設定だったら、古さを感じざるを得ないと思います。
戦争が過去のものになっていない、紛争がすぐそばにある土地柄だなと感じ入りました。
つながる、読書案内ーーインドの文学
というわけで、今回はインドの文学について。
インドの古典文学が、なんかまず複雑!
ベーダ文学、プラークリット文学、サンスクリット文学、タミル文学に大別される。
らしいです。
古典文学が四つに分かれる?
とまずびっくり。
そして、現在インドで話されている言語は、ヒンディー語を筆頭に、ベンガル語、テルグ語、マラーティー語、タミル語、ウルドゥー語、グジャラート語、マラヤーラム語、カンナダ語、オリヤー語、パンジャーブ語、ビハール語、ラージャスターン語、アッサム語、ビリー語、サンタル語、カシミール語などなど……。
思っていた以上に多いです。
それに、いろんな宗教が混ぜこぜになった土地でもある。
バラモン教、ヒンドゥー教、仏教、ジャイナ教、イスラム教……。
これは、一つ一つの言語に結びついてて、〇〇文学はこの宗教の色が強い……とかいう関係になっているらしい。
でも、絡み合ってるから、一概にはいえないとか。
なんだこの複雑さ……。
現代文学は大まかなところは、ヒンディー文学、ウルドゥー文学、ベンガル文学、マラーティー文学に分かれるみたい。
そして、カーストの国でもあるインドでは、身分の違いでも文学区分が分かれる。
被差別民ダリトの方たちのダリト文学、というのもあるとか。
それに、近隣のパキスタンや、スリランカの文学もインドの文学と深い関わりがあるとようで。
ちょっと、簡単には理解できなさそうです。
この前はすぐにブックリストなんかも見つかったんですが、今回はなかなか……。
前回は、ヘブライ文学という一つの文学でしたもんね。
アジアの文学史とかを一旦読んで見た方がいいのかもしれません。
そういう本は実は苦手な部類だったりするのですが、挑戦してみます。
読んだらまた、皆さまに共有させていただきますね。
それでは、また次の記事でお会いしましょう。
参考にさせていただいたサイト
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