𝙤𝙮𝙪

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かわいいに一直線に

ちょうど1年前のこの季節に、私は新卒で入った会社を退職した。 勤続半年だった。 いま振り返れば頑張れたのはたった半年ぽっちかと思うし、6ヶ月もなんとか社会人をやりきったのだなと褒めてあげたい気持ちでもある。 理由は簡単、適応障害で会社に行けなくなった。 特にこれといった前兆はなく、ある月曜日の朝、急に行けなくなってしまった。 それからは休職して、復職できそうにもなく、泣く泣く退職した。 泣く泣くという表現は半分正解で、半分違うかもしれない。 辞めることが決まった時、とてもホッ

    • アイスを食べるみたいに、人生も軽やかに足を運べたら。

      アイスは冬に食べるのがいちばんおいしいと思う。 夏場のアイスみたいにだらだら汗をかかないし、口の中がぬたぬたしないし、チョコレートフレーバーのアイスがたくさん出るし、何よりこたつで食べるアイスクリームは至福の時だ。まあうちにこたつなんてないのだけどね! イマジナリーこたつで舐めるアイスの美味しいこと、美味しいこと。 おゆちゃんは働くのまだ早いと思うよと、恋人が帰宅するなりわたしにそう言った。 そうかな、そうかな、そうかも、えへへ、なんて相づちを打った。 昨日、バイトの面接

      • 私って好きな人と暮らす資格ないと思う。

        私って好きな人と暮らす資格ないと思う。 いま私は同性の恋人と同棲している。 同棲にあたって家賃は折半。食費や光熱費なんかは適当に半分こ。 なんかそんな感じで2人で決めて、同棲生活はとある年の2月に始まった。 働いていた時は、それが当たり前にできていた。 お給料が入ったら、三井住友のアプリから家賃分のお金を送金して、「今月の家賃お願いします」というと、彼女は決まってありがとうと言ってくれた。 それが今、できなくなってしまった。 全ての負担を、彼女が1人で背負っている。 ア

        • 豚汁には生姜を入れるととてもおいしくなる

          夕飯に豚汁を作った。 豚こま肉をごま油で炒めて、皮をむいたじゃがいもとたまねぎ、冷蔵庫に残っていたえりんぎも一緒に炒めて、油が回ったらお鍋いっぱいに水を張って火が通るまで待つ。 我が家の豚汁には隠し味に生姜を入れる。 すりおろしたものでもいい、チューブでもいい。 なんでもいいから、とにかく生姜を入れる。 そうすると、味に奥深さが出て風味がより豊かになる、気がする。 はじめて彼女に豚汁を作った時、その隠し味にえらく感動していた。おいしい、おいしすぎる! 天才だ、今まで生姜を入れ

          「男の人と結婚して欲しい」という母親の呪いにいつまでもかかっている

          「おゆちゃんには男の人と結婚して欲しいな。」 母親がそっと口にしたそれを、わたしは20数年経った今も鮮明に思い出すことができる。何の気なしに発せられたと思われる言葉だったけれど、わたしにとってそれはとても強烈なひと言だった。 きっかけはテレビを見ている時だった。同性愛者を扱った番組は、ふたりの馴れ初めやお互いの葛藤などを描き、最後は「ふたりは性別を超えて愛を超えて結婚しました!」というふうに、めでたしめでたしで締められたものだった。そして母が冒頭のひとことを放った。 それ

          「男の人と結婚して欲しい」という母親の呪いにいつまでもかかっている