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“白い”ねこのーと

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喧嘩と論理の深淵。その冒険記。
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#ディベート

page.22 間テクスト性の諸性質

間テクスト性(intertextuality)は,主にポスト構造主義者たちに頻用され,意外かな構造主義者たちにもしばしば援用されてきた歴史をもつ,哲学の重大なテクニカルタームである。

クリステヴァが1966年に造語した。

同時期にはデリダの散種(Dissémination)など,テクスト読解における無視できない振盪が認められる。次項ではこの事態を批判することで,現在われわれの立たされている哲学

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page.21 論述債務の発生事由

論述は議論の本質的構成要素であるが,これを恒に誰にでも請求できる(或は,我々はみんな,誰に対しても恒に論述を加える義務を負っている)と考えるのは不合理であろう。

本書では,論述をしなくてはならないという義務を【論述債務】と称ぶことにして,その発生事由や消滅事由なども考えていきたい。そこで,本項では取り急ぎその発生事由を簡単に述べる。

AのBに対する主張aの論述債務は,【Bの論理体系にAがaによ

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page.20 論益の基礎とすゝめ

本書では,論争の完成によってそのコミュニティに得られる利益の一般を【論益】と称ぶ。

(論争に参与するアバター間において,そのトピックの命題に与えられる真理値一致の確認を以て,その論争は完成するものとする)

論争の一般に,そのトピックに静謐する益を認めることが出来るように思われるが,──いわゆる喧嘩界隈など──論争すること自体を利得に設定すべきコミュニティを俎上に乗せたときは混乱が生じ易いように

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