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【エッセイ】さよなら、俺たち(清太 隆之)

1200人を超える女性の恋愛相談に耳を傾けた結果、見えてきたのは男たちの幼稚で狡猾な姿。
俺たちはこのままで良いのか?
これからの時代「俺たち」に必要なことは、甘えや油断、無知や加害者性など、自分の見たくない部分と向き合いながら、「俺たち」にさよならすることだ...というエッセイ。

ほぼ一般男性がジェンダー論について書いたエッセイ。

一人相撲な狂い方、自分勝手で身勝手なフィルター。
実に身につまされる話である。

ジェンダー問題を前にした時の男性感情が、良い部分も悪い部分も含め生々しいくらいに言語化されている。
「良かれと思ってやったのに」問題なんか然もありなんといった感じ。
共感できてしまう自分が情けなく思えてしまうところもあるが、そういった自身の感情にしっかり向き合っていくことがジェンダー問題に向き合っていくためには大事なんだろうなと思う。
しかし、全ての事に素直に頷けはしないし、受け入れも容易にはできないのかもしれないという一抹の不安にも似た恐怖がある。

毎日のように更新されていくジェンダーや多様性。
しかして自分は入力されていく情報に正しく対応できているのだろうか?
ただただ溢れていく情報をなんとか漏れ出さないように収めるのに精一杯というのが正直なところではないだろうか。
結局の所、さして対応できる程の力量はなく平面的にしか捉えられない耳年増に成り下がっている様な気がしてならない。

絶望的な未来像を避けるどころか流され、飼い慣らされて考えなくても良いというぬるま湯。
無知でいることは楽ではあるが、気づけば自身の首を締め付けるような問題が山積みになり、ついぞ世の中に或いは世界から取り残されてしまうのかもしれない。
同じような問いが「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」でも提示されている。

果たして俺は「俺たち」的感覚を捨て去り、さよならの向こう側に有るであろう世界を享受できるのであろうか。
もしかしたら自分はまだ「俺たち」にさよならできていないのかもしれない。

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