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【小説】その可能性はすでに考えた (井上 真偽)

ある山村でおきたカルト集団内の斬首集団自殺。
唯一の生き残りの少女には、首を切られた少年が自分を抱えて運ぶという不可解な記憶があった。
この事件の真相とは...
というお話。

パズラー要素がある多重解決型のミステリー。
その場その場で、様々な人物による推理合戦は、私的にゲーム「ダンガンロンパ」を彷彿とさせるように思えた。

「あらゆる可能性を排除して残った一つが事実になる」というある種逆説的な帰結を目指す。
登場するキャラクターたちが一つの事件に対して複数の事実を推察して論証し、その綻びを探偵が指摘するという不思議な構成は中々ないから多様な視点で物事を見て、かつその可能性を最大限まで解像度を高め、深める事の難しさを啓蒙するという意味では面白い視点の作品だなと思った。

しかし、キャラが立っているというよりも、全ての登場人物が少々古臭い漫画の様なキャラ立てや、セリフ回しや地の文がやたらと比喩やオシャレ気取りな言い回しが多く、小むづかしい言い回しやルビ付きの中国語も頻出し、読みくたびれる。
全体的に、狙ってやっての事であざとさが出てる様な印象。
謎の中国推しの様な設定も個人的にノイズの様な感触として出てしまい、どうにも読みにくかったなぁ。

パズラーや論理的展開が好きな人にはオススメか?

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