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【小説】横浜駅SF (柞刈 湯葉)
横浜駅の自己増殖が始まって数百年後、本州の9割が横浜駅構内となった世界で、駅外に生まれた主人公がある事をきっかけに42番出口という場所を目指す...というお話。
これだけ聞くといわゆるバカミス的なトンデモSFなのかなと思って読んでみたら結構ガチでSFしていてかつディストピア的な世界観に固唾を飲む。
100年以上工事が続く日本のサグラダ・ファミリアこと横浜駅をネタにしたつぶやきが発端とのことだが、JR北日本とJR福岡は横浜駅の侵入に抵抗しているとか、エキナカで暮らす人たちにはインプラント端末「Suika」が埋め込まれて管理されているとか、発想の膨らませ方が面白くワードセンスもよい。
各章題も名作のパロディにニヤリとさせられる。
富裕層な「Suika」を埋め込まれた人々だけが駅ナカで生活し、貧民層として扱われる「Suika」がない人々は駅外で横浜駅が排出する流れ物で生活する。
どちらの界隈も横浜駅による管理で縛り付けられた生活を強いられる過酷な世界観。
作者が後書きで語った様に、確かに横浜駅は「完成しない」ことに本質があるのだなと感じる。
最近は工事も落ち着いているみたいだけど、まだまだ工事の余地はあるんだろう。