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【小説】空芯手帳 (八木 詠美)

職場での自分に対する扱いにキレて偽装妊娠をでっち上げる...というお話。

さながら思考実験の様な疑似体験を偽装描写の数々を経て、さらに読み手を翻弄し振り回す様な構成が良き。
妊娠した上での必要な手続き等を考えると突っ込みが入りそうだけどフィクションという事でご愛嬌。

妊娠してないのにどうする気なんだ?と思っていたら、実際には妊娠していたらしく、出産するのか?と思っていたら、また空想だったの?と感じる表現があり困惑。
考えてもどっちもあり得そうでよくわからない。

男女で見方が変わるのかもしれないなぁ。
どんどん自分で嘘を信じ込んでいくが、どこかで本物になる瞬間があるというまさにそれ。

製管現場の独白で「ここで作られるのは空っぽの芯だ」実は妊娠していない自身の中身とを重ね合わせながら考察するという場面で、タイトルの意味を理解した。

どこまで嘘でどこから本当なのか。
産むも地獄、産まぬも地獄。
狂気の物語であった。

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