【小説】感応グラン=ギニョル (空木 春宵)
実に耽美的でアブノーマルなSF短編集だった。
そこはかとなく漂う古典文学と百合の素養。
繊細な要素が渋滞して下手したらミスマッチしてしまうかの様な作品性を上手く料理していると思う。
日本SFの最先端、まさにニューアブノーマルと言っても過言じゃぁない!
「感応グラン=ギニョル」
テレパシー能力を持った哲学的ゾンビを残虐劇の投影装置に使ったり、憎悪と痛みだけを撚り合わせて精神的なフランケンシュタインを生んだりと発想が面白い。
「地獄を縫い取る」
これも精神的フランケンシュタインを作る話だが、感情を同調させるナノテクとAIに室町時代の太夫の伝承を交差させるのがやはり面白い。
「メタモルフォシスの龍」
奇抜な設定だけど恋をトリガーに解剖学的な変異を起こす奇病から意識と肉体の性の不一致を撹乱していくプロットが秀逸。
「徒花物語」
大正浪漫風の百合×ゾンビモノかと思ったらまさかの侵略モノだった。
「Rampo Sicks」
美醜が法の強靭な統制を受ける世界で醜女と大衆の嫉妬感情はさながら思想警察かはたまたシビュラシステムか?
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