【小説】あさひは失敗しない (真下 みこと)
「あさひは失敗しないから」という過干渉な母親の言葉で育てられた大学生のあさひはある出来事を皮切りに少しずつ人生がおかしな方向に向かっていく...というお話。
あさひの生き辛さがリアルに描かれている。
母親が過干渉だが、あさひも選択を母親におまかせで共依存のような関係。
そういった所を人に利用され傷ついていても、そんな自分にまともに向き合えないまま、大胆な間違いへと突っ走ったという感じだろうか。
女子の輪に入っていくには自分はみんなと同じを強調しなきゃいけないのだろう。
妙なマウントをとったり、女子の嫌な感じの描写はリアル。
母親もなかなかにアレだけど豹変した律子も陰湿で卑屈でアレである...。
失敗しないというのも行きすぎると束縛となり支配となる。
された側は被害者でしかなく、選択肢は狭まり、結果逃げるのが一番簡単だったり...。
失敗しない事というのが絶対条件の上で、この判断は正しいのかそうでないのか?と常に自身に問いかける人生はしんどい。
体を捧げたのはあさひなりの自立へのアプローチだったのだろう。
堕胎を打ち明けたのは自立した事と成長の自慢。
箱庭でしか学べなかった彼女は自分なりの解釈でしか生きられないし、それを責める事も出来ない。
人は失敗する事でも成長できる。
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