【小説】殺人鬼フジコの衝動 (真梨 幸子)
十数人を殺害した罪で死刑になった伝説の女、通称“殺人鬼フジコ”。
彼女は、11歳のときに起こった一家惨殺事件のただ1人の生き残りだった。
悲劇を乗り越え新しい人生を歩もうとしていた少女は、なぜ稀代の殺人鬼と恐れられる悪女へ変貌したのか。
フジコを知るある人物の遺した記録小説という形で、謎と悲劇に満ちたフジコの一生を描いていく...というお話し。
物語に一切救いがない。
最後に笑う奴がいるかもしれないってのはまぁまぁ胸糞か?
劣悪な家庭環境や子供らしさを微塵とも感じられない同級生、どうしようもない状況下で育ったフジコはみんなから嫌われないように生きていく。
「バレなきゃいい」という魔法の言葉。
それは彼女に身についた処世術だったが、後にほころびが出てきて息をするがごとく、罪を犯すようになってしまう。
身勝手で幼く、短絡的。
肥大していく履き違えた自尊心。
プライドだけは一丁前。
典型的なサイコパス像と言える。
叔母がフジコに慰める様に逐一言う「忘れなさい」という呪いの言葉に似たような強迫観念。
そんなに言われたら忘れるわけねぇだろうに。
ただただ、追い詰められる。
そんなこんなで、なんだかんだいつもどこにいても追い詰められている様な精神状態。
結局母親と同じような立場で、同じ事やってんだよな。
自業自得と言えばそういう側面もあるんだろうけど、そうとも言えない所もあってうーん...。
個人的に幼児虐待描写がキツかった...。
愛でるのは勿論、鑑賞にさえ飽きてしまった人形の様な扱い。
現実でもこういう事は有るんだよな...。
あってはならないんだけど。
悲しいというより虚しい気持ちだけが残った。
結局フジコは心から幸せになれたと実感できたのだろうか?
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