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山椒は日本の味

そろそろ八百屋さんの店頭に筍が並ぶ季節です。たけのこご飯の上に、山椒の葉が飾ってあると、ちょっとランクアップした印象があります。味もアクセントがついて、いい感じですね。

山椒は、英語でジャパニーズペッパーと言う位ですから、日本のもの、と認識されているようです。縄文時代の遺跡から、山椒が発掘される位ですから、日本人は昔から山椒の風味を愉しんできたのですね。

どこのスーパーで売られている瓶づめの粉山椒、季節になると八百屋の店頭にきちんとラップされて売られている山椒の若葉、高級スーパーや京都物産展などでみかける山椒の実の佃煮、それからちりめん山椒などが、皆さんが普段目にする山椒でしょうか。(ご自宅で育てられている方は、別ですが。)

4月から5月にかけて2週間位しか出回らない、花山椒というものもあります。塩漬けにしたものを、料理の彩りや、佃煮、鰆の煮物につかっているようです。

この花山椒の鍋というのがあります。麻布の幸村さんが最初に提供したといわれている、牛肉や鶏肉の鍋で、上にこんもり生の花山椒をのせたものです。山椒の花は小さい黄色いもので、新緑の山椒の葉は、綺麗な黄緑です。色のイメージとしては、菜の花が一番近いかもしれません。

新鮮な花山椒を入手できる京都の割烹や、旅館が季節限定の売り物にしているようです。いくら位のものなのか、とネットで検索してみたら、200g22,896円(送料込み)!!!!大変な高級品でした。フォアグラよりも高いではありませんか。しかも、材料の一部です。このお値段の花山椒に見合うような、高級鶏肉や牛肉を合わせ、手間賃やらもろもろを加算すると、一体いくらの鍋になるのでしょうか。一度食べてみたいけれど、お財布のダメージが凄そうです。

実は、山椒には雄の木と雌の木があり、どちらの木も花が咲くのです。山椒の苗を販売しているところをネットで検索すると、「花も葉も楽しめます」と書いて、売っているのが、雄の木です。雌の木は、実山椒の苗として、別のカテゴリーで販売されています。雌の木には、結実につながる雌しべがありますが、雄しべにはありません。

中華料理の調味料で花椒(ホワジャオ)と言うのがありますが、あれは華北山椒という中国原産のもので、英名もチャイニーズペッパーといいます。この中国産の山椒の実が、乾燥中にはじけてくる様子が花に似ている、というので花椒というので、本当の花ではありません。四川料理に欠かせない調味料の一つです。

麻婆豆腐に仕上げに、油に花椒の味と香りを移したものを、ジョワーっとかけると教えてくれたのは、当時赤坂四川飯店の料理長だった方でした。独立してお店を出されたけれど、自宅から遠かったので行かずじまいになっております。

中華料理で使う山椒には、青山椒というのもあって、これは完熟前の青い山椒の実を乾燥させたものです。これも、実の周りの皮だけを使います。中華料理のスパイスとして使う時は、実の周りの皮だけを使うのです。日本とは違いますね。山椒の仲間は200種ほどあるそうですから、中国のものと日本のものは、皮の味も実の味も違っていて、実は使えない物だったのかもしれません。

中國漢方で使用するときは、この中国山椒の実も使います。殺菌、鎮静、麻酔の薬になるそうです。日本薬局処方だと、山椒の果皮(実の周りの皮)だけを使い、健胃、腹痛の薬として使用されます。お正月の屠蘇の成分の一つでもあります。お正月に食べすぎても大丈夫なように、処方してあるのでしょうか。

中国山椒と日本の山椒の薬効がここまで違うのですから、成分もかなりちがっているのではないでしょうか。ウナギのかば焼きに中華山椒をかけるのも、麻婆豆腐に日本の粉山椒をかけるのも、なんだか違和感のある味になるのは、そんなことも関係しているのではないでしょうか。

何はともあれ、たけのこご飯や木の芽田楽の季節です。山椒を使って、旬を愛でたいものですね。


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