とびきり輝いていたわけではないけれど、ただ、地味でも思いやりがあって、そこに品があった。「ハイ・フィディリティー」映画レビューより
公開 2000年 アメリカ
出演 ジョン・キューザック
ジャック・ブラック
イーベン・ヤイレ
キャサリン・ゼタ・ジョーンズ
トッド・ルイーゾ
中古レコード店を経営するロブ(ジョン・キューザック)は、同棲していた恋人のローラ(イーベン・ヤイレ)が突然出ていったことをきっかけに、これまでの失恋トップ5の女性たちを訪ね歩き、自分の何がいけなかったのかを問いただしていく。
(アマゾン商品紹介より)
まずは何といってもジャック・ブラックの存在感に引き付けられます。
ジャック・ブラックはロブが経営する中古レコード店の店員バリー役で登場。
遅刻してきてはBGMとしてかけている音楽にいちゃもんを付け、自分の持ってきたハードロックに変え、エアギターでシャウト。
音楽に対する趣味と教養の深さで客を選び、気に入らない奴にはレコードを売らない。
スクールオブロックとほぼ同じ濃い~キャラクターで一度見たら目が離せません。
もう一人の店員ディック(トッドルイーゾ)もなかなかいいです。
バリーとは対照的に内気でなよなよした奴だけど、こと音楽談議になればやはり筋金入りのオタクでロブやバリーと互角に渡り合います。
三人の音楽談議は、洋楽マニアにはたまらないのでしょう。
しかし、そんな音楽オタクの三人がろくに客の来ない暇な店で
頭でっかちな理屈を言いあいながら、なんとなく生きる毎日は
いかにもうだつが上がらない感じで、店主のロブ(ジョンキューザック)は
ついに恋人ローラに愛想をつかされてしまいます。
ローラがなぜ出ていったのか?
その本当の理由は中盤ぐらいで明かされます。
ここでは明かしませんが、なかなかにすごい理由があります。
しかし、昔、上の階に住んでいたポニーテール頭のいけ好かない奴イアン(ティム・ロビンス)と一緒に暮らしていると知ると、SEXはしたのかと執拗に聞いたり、その家の近くまで行って電話をかけまくったり、元カノに電話しまくって、自分の何が悪かったのかと聞きまわったり、
と、ロブはほとんど常軌を逸したストーカー状態となります。
このあたりのくだりで興ざめする人も多いのではないでしょうか。
僕はタイムリーに劇場で観たときはかなり共感でき温かく見守れました。
(実は若いころに似たような経験したことがあって。雨降る電話ボックスの中、10円玉を積み上げて恋人に執拗な電話攻撃・・まだ携帯電話もさらさらない時代でしたから・・)
そんな中、元カノの一人、チャーリー役としてキャサリン・ゼタが登場。
外見的にはこのころピークの美しさだったのではないでしょうか。
たいしてローラ演じるイーベン・ヤイレはいかにも幸薄い顔立ちです。
この、キャサリン・ゼタ扮するチャーリーとイーベン・ヤイレ扮するローラの対比がまたイイのです。
チャーリーはいわゆるリア充女子。
家には大勢の男女が集まり、おしゃれな会話を楽しんでいます。
外見も絶頂期のキャサリン・ゼタで。「映え」まくっています。
しかし、そんな中に招き入れられたロブは、
一人会話に入れず居心地の悪い思いをしながらも、チャーリーを観察し、気づきます。
こいつは昔からこういう女だった・・・。
他人にたいして思いやりもなく、自分が他人にどう見えているかにしか興味がない。
そしてローラとの日々を思い出します。
とびきり輝いていたわけではないけれど。
ただ、地味でも思いやりがあって、そこに品があった・・・と。
おくればせながら、バカみたいな遠回りして、遠回りしてやっと気づくわけです
!!!ネタバレあり!!!
結局、ロブはローラにプロポーズをするのですが。
このプロポーズの言葉
僕の中の映画史上、最も素敵なプロポーズではないかと思います。
先ほど伏せた、なかなかにすごい理由を乗り越えられるの?
と、ここも腑におちない人も多いのでないでしょうか。
僕も、一瞬腑に落ちなかったのですが
お父さんの死を一つのきっかけにしたのが脚本としてうまいです。
共通の近親者の死というのは、細事を超越して深い絆を生む。
というのも経験からわかるので・・・。
※2018年1月掲載記事に加筆修正を加えての再投稿記事です。