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2022年2月の記事一覧

植村直己「青春を山に賭けて」を読んで。挑戦と無謀の境界線を見極める

初版 1977年(新装版2008年) 文春文庫 植村/直己 1941(昭和16)年、兵庫県生まれ。明治大学卒。日本人初のエベレスト登頂をふくめ、世界で初めて五大陸最高峰に登頂する。76年に2年がかりの北極圏1万2000キロの単独犬ぞり旅を達成。78年には犬ぞりでの北極点単独行とグリーンランド縦断に成功。その偉業に対し菊池寛賞、英国のバラー・イン・スポーツ賞が贈られた。南極大陸犬ぞり横断を夢にしたまま、84年2月、北米マッキンリーに冬期単独登頂後、消息を絶った。 内容 家

小池真理子「沈黙のひと」読書感想

初版 2015年5月 文春文庫 あらすじ 両親の離婚によってほとんど関わりあうことなく生きてきた父が、難病を患った末に亡くなった。衿子は遺品のワープロを持ち帰るが、そこには口を利くこともできなくなっていた父の心の叫び―後妻家族との相克、衿子へのあふれる想い、そして秘めたる恋が綴られていた。吉川英治文学賞受賞、魂を揺さぶる傑作。(アマゾン商品紹介より) 生前、ちゃんと向き合わなかった家族を、死して、あるいは、死を直前にしてようやく顧みるという話です。 本作の場合は、幼い頃