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日本の大学で教える中国国籍の先生方が中国で拘束される事件が頻発していることに沈黙でいいのか?(拘束事件一覧)

日本の大学で教鞭をとる中国国籍の先生方が、中国に一時帰国中に拘束され、行方不明になるなどする事件が相次いでいます。

日本の学問の自由に対する重大な挑戦状だと、私は強く懸念しています。
また、これをマスコミは何かに遠慮しているかのように、この問題が報道されません。

当然ですが、「邪魔な組織」の代名詞・日本学術会議は少しでも言ったでしょうか。

「日本国籍でない」などから日本の外務省も及び腰になっていますが、文部省も大学にあれだけ口をさしはさむなら、一言でも中国に対して抗議声明を出したらどうでしょうか。

また、自由や人権論をあれだけ「元気」に絶叫していた憲法論の先生方が同僚教授の身柄拘束では全く他人事のように沈黙している姿に言いようのない薄気味悪さがあります。日本の学問の自由は中国共産党の暴力に蹂躙されていることに沈黙したままでいいと思いません

NHKの国際放送がたびたび遮断されますが、この件について沈黙していていいはずがないのと同じです。最近では「またか」と報道にすらなっていないケースもあります。言論の自由を今一度見つめ直す必要があります

以下一覧です。日付の新しい順です。

2023年2月亜細亜大学の中国人教授、范雲濤氏が中国に一時帰国したまま所在不明。

著書は参考になる点も多くありました。

2021年夏神戸学院大学の中国人教授、胡士雲氏。一時帰国して以降所在不明(その後無事日本に戻る)

なお、神戸学院大の胡士雲教授はその後無事に、日本に戻られて、復帰しているようで、2022年6月に同大学のサイトでも元気な姿が確認できます。

無事だったから良いのでしょうか。そうではありません。
中国で突如行方不明になって、その後何事も無かったかのように、大学の教壇に戻る。周囲もそれを語ることは無い。薄気味悪さを感じませんか。

さらに、本人には申し訳ないですが、拘束後に語られる「日中関係論」「中国論」については、懐疑の目を向けざるを得なくなります。ここが問題なのです。

拘束された本人を非難するのではありませんが、拘束中に何が起きたのか、何を言うな、これを言えという脅迫を受けているのではないかしかし、周囲では何事も無かったかのように接する。拘束についてのタブーです

全体主義とは、このように静かに忍び寄ってくるものだと痛感しました。大学における「学問の自由」「学問の独立」の重要性を改めて認識しました。

2019年9月北海道大学岩谷将教授が社会科学院の招待を受けて訪中し、直後に拘束され当局の施設で厳しい「居住監視」の下で尋問を受けて、11月に釈放。

中国人教授だけでなく、日本人の大学教授も拘束されています。軍事史が専門だから、学術会議はどうでもいいと思っているのでしょうか。

岩谷氏は、戦史の専門家で日中戦争についての著作もあります。

2019年5月北海道教育大元教授で中国籍の袁克勤さん。中国に帰国した際に突如拘束。

同僚学者などが早期の開放を訴えています。これには敬意と共感です。

2016年10月下旬立命館大学教授の中国人学者、周瑋生さんが上海に学会のため出張以降、2カ月にわたって日本の自宅に戻らず連絡が取れない

立命館大学のサイトで見ると、その後無事に日本に戻られているようです。

これも、胡士雲氏同様に中国で突如行方不明になって、その後何事も無かったかのように、大学の教壇に戻るパターンです。現地での拘束で何があったのか、不気味なほど触れられることはありません。

2014年3月神戸大大学院国際文化学研究科の王柯教授が、少数民族の聞き取り調査のため訪れた中国で現地の警察に一時身柄を拘束

王教授や神戸大によると、王氏は1日から少数民族「回族」の中のムスリム宗族に関する調査のため、訪中した。10日に帰国予定だったが、法律に触れたとして、福建省泉州市で調査中だった7日、警察当局に拘束、24日午前に釈放された。

『日経』2014年3月25日

王柯氏の場合は、ウイグル問題などに関連しています。改めて中国でのウイグル問題の深刻さを感じました。

2013年7月出身地の上海を訪れた東洋学園大教授朱建栄氏が当局に身柄を拘束され、2014年1月に解放。

地上波でもよく出ていた朱建栄氏は2013年7月~2014年1月に身柄を拘束されています。

拘束された事件で大変だったとは思いますが、その後メディアもこの事件が無かったかのように、同様に地上波に出演していることは見逃せません。

中国の見方の紹介のレベルだけならまだしも、中国共産党の「正しい見解」の伝道師のような言辞を吐く姿は、不気味さと悲しさがあります。

事件の背景は、様々ありますが、青木直人氏の解説に注目しています。

朱建栄氏は拘束事件後に以前に比べて中国の意見の代弁がさらに強烈になっています。

中国側の公式見解がはっきりわかっていいではないか、と言う人もいるかもしれません。そうであれば、「大学」ではなく大使館の広報官をされるべきでしょう。

日本の学問の自由の下、地上波で独裁国家の代弁を激しく怒鳴ることに違和感を感じます。本人には申し訳ないですが、朱建栄氏に対する健全な批判も当然必要です。

以前から中国共産党の代弁は分かっていましたが、ここまで必死な形相での議論に異常さを感じざるを得ません。親族を人質に取られているのではないかとも思ってしまいます。

なぜこれらの拘束事件が問題なのか-他の中国人学者の「日中関係論」も全て脅迫を受けて言わされている内容ではないか

他の中国出身(中国国籍)の大学教授の「日中関係論」も、個人の分析や論考ではなく、「全て中国側から言わされている」内容だからです。例えば、先日の東大の李昊准教授も、靖国参拝について、BSフジで話していました。

「壊滅的なダメージですね、国内の右翼以外に何も得られない、感情的に許せる要素はゼロ、これまでの日本の反省を全て無下にする、侵略者を神として尊敬して拝みに行く、絶望的、百害あって一利なし

これも額面通りには受け取れません。中国共産党に何らかの形で脅迫なりを受けていることは想像されます。上記の事例全部見て下さい。

興味深いのが番組の後半で「中国の対日世論はむしろ良くなっている」と指摘していた点です。中国でいつ「世論調査」ができたのでしょうか?こんな子供だましのような話をしてまでも、共産党に忠誠を立てて見せないと身が危ないことの何よりの証明でしょう。中国出身・中国国籍の学者の言う「日中友好」が、まるで説得力を持たない政治宣伝になってしまいます。

私が懸念するのは、こういう中国共産党の政治宣伝を日本国内で大々的かつ、組織的にすればするほど、日本国内の中国に強硬な態度の言説が説得力を持ってしまう点です。

さらに、李昊氏の著作内容を見れば、中国に一時帰国した場合に、拘束されない方が、むしろおかしいぐらいです。私も拝読しましたが、かなりの力作です。名著です。名著ですが、ふと思い浮かんだのが本人の身の安全と、「何かある」感。

今回テレビの画面で初めて見て、氷解しました。東大准教授の肩書で中国共産党の思う「正しい日中関係」を教える、これと引き換えに中国での研究上の便宜や安全があるのではないか、と感じました。なお、念のため再度。『派閥の中国政治』は名著で必読文献と断言します。

番組で靖国参拝を激しく批判する李昊氏の姿を、むしろ中国共産党の方が真剣になってチェックしていることを、視聴者である私たちも自覚するべきでしょう。この点を番組の方が言わないことの方にむしろ危うさがあります

日本の大学やマスコミの「事なかれ」による沈黙に、全体主義が静かに忍び寄っています。

まあ、私も茶化してこんなこと書いているから、ばれたら北京で拘束されると思います。


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