見出し画像

「コピー点」が、気になるわ。

こんなキャッチコピーがあるとする(筆者が適当に作った架空のもの)。

「こんな家って、素敵だな。」

このコピーはよく考えると、読点抜きでもちゃんと成立する。

「こんな家って素敵だな。」

というふうに。このように、キャッチコピーには読点が不必要に用いられることが多い。こうした「キャッチコピーに不必要に用いられる読点」のことを、筆者は「コピー点」と呼んでいる。このコピー点は、いつから多用されているのだろう。厳密に検証したわけではないのだが、あの糸井重里さんの超有名コピーあたりからではないかと思い当たった。たとえば1988年、西武百貨店向けに作られたこのコピー。

「ほしいものが、ほしいわ。」

このコピーの読点は、無いと確かに読みにくい。ただし「欲しい」を漢字にすれば、読点なしでも解決する。そのように変換してみよう。

「欲しいものが、欲しいわ。」
      ↓
「欲しいものが欲しいわ。」

つまり、「が」と「欲(ほ)」が続いても読めるのである。糸井氏が用いる読点の意義は、口語性による親しみやすさ、漢字を用いない読みやすさ、そして息継ぎによる発音のしやすさの3つにあるのだろう。

明記しておく。筆者が「コピー点」を槍玉に上げるのは、糸井重里氏を批判したいからでは決してない。むしろ多くのキャッチコピーが、こうした糸井氏のようなスタイルを無批判に踏襲・模倣してしまっているのではないかと指摘したいのだ。それがコピーだとしても、独創的だと言えないことは言うまでもない。この「コピー点」は身近にいくらでも見つかるので、ぜひ探してみてください。

まったく関係ないが、糸井重里さんに敬意を表してパロディをひとつ。

「干し芋が、ほしいわ。」

いや、本当に、時どき食べたくなるんです。

いいなと思ったら応援しよう!

悟塔雛樹
私の拙い記事をご覧いただき、心より感謝申し上げます。コメントなどもいただけますと幸いです。もしサポートいただけました際には、創作活動に有効に使わせていただきます。応援のほど、どうぞよろしくお願いいたします!