マガジンのカバー画像

「翻訳練習雑記帳」

47
翻訳練習、英語学習で気づいたことをシェアできればと思います。
運営しているクリエイター

記事一覧

「八重柿」なら意味は通る:日本最古の和歌について

<はじめに> どんなテキストも完璧に理解できるものではないが、翻訳者たるもの完全な理解を目指すべきだと教わったことがある。実際、意味が通らない日本語に出会ったり、自分が何を書いているかわからない時に軽く英訳すると両言語の力を借りて理解が深まる場合がある。少なくとも「分かるか分からないかが分からない」状況は減らせる。あるいは外国の方に、「シンプルな英語で説明できるだろうか」などと考えるのもよい。 ところで最近、「意味が分からない」と強く感じたものがある。日本最古の和歌と

自分で訳した歌をAIにかけてみた

自分で過去に翻訳した歌(日本語で歌えます)を、copilotというAIに読ませてみました。権利切れの作品なので、著作権上の問題はありません。 原詩と訳詞はこちら↓ 結果(パソコン画面)を撮影したものがこちら ↓ 少し見えにくいですが、結構褒めてくれていて嬉しい☺️ 実はポール・サイモン氏の歌詞も訳してみて、AI的にはもっと褒めてくれたんだけど、残念ながら著作権の問題がありうるので掲載は控えますね。 皆様も英語学習のツールとして、翻訳文をAIに評価してもらってみてくだ

先日フランスの方にお会いした。初対面だがフランス人らしく理知的な方で、日本人の自分とは対照的。コミュニケーションは英語であったが、筆者のは錆びついて目茶苦茶だったのが残念。向こうはこちらに、正反対の印象を抱かれたことだろう。だが楽しく過ごさせていただいた。またご縁がありますよう。

よくテレビなどで何かの感想を求められた小学生が、「良かったです」などと答えていた記憶がある。これを正しくは「よろしゅうございました」というべきだと言った人がいたが、どうだろう。大人ならなんと言うか考えたが、「大変結構でした」ではないか。他に無難な言い回しがあるかなあ?

「アダルトチルドレン」の訳語を考えてみる

アダルトチルドレンの自助会を見つけたので、顔を出してみたことが少しある。いろいろ印象に残ったことはあったけれど、何より「アダルトチルドレン」という言葉自体のイメージが理解されないという嘆きが印象的だった。 確かに筆者も未だによく分かっていない(専門書を読んでいない)し、「アダルトチルドレン」と最初に耳にした方は、なおさらではないかと思う。 言葉の意味としては要するに、「大人のような子供たち」である。家庭環境が悪すぎて、子供らしい子供時代を送れなかった人たちを指すのだ。

「Overexcitability」(OE)という言葉には「過興奮性」という訳語があるが、「過剰興奮性」とした方が分かりやすいかもしれないなあ。何にせよ、翻訳は難しいものですよね。

ナルシシズムに「自己愛」という訳を当てる違和感については、かつて記した。「愛」自体が多義的な概念で、少なくともエロス、アガペー、フィリアの3種類ある。仏教での「愛」には、「執着」の意味も強い。これらをうまく考え合わせた訳語があるか疑問だ。「ナルシシズム」のままで良いのでは?

未読だが、ドイツ・ロマン派の小説に『青い花』というのがある。存在しない花を追い求める素晴らしい内容だが、私などはどうしても「青っ洟(あおっぱな)」という日本語を連想してしまう。ロマン台無しだが、翻訳の語感は難しいなあ。

『スター・ウォーズ』の素朴な疑問

約40年前、筆者が中学生のときと記憶している。文庫で『スター・ウォーズ ジェダイの復讐』(今では『スター・ウォーズ  ジェダイの帰還』)を読んだのだが、雑魚的な怪物キャラ「サレシャス・クラム」に<助平・パン屑>と字が当てられていた。素朴な疑問が浮かんだ。「スケベなパンくず」って、何だ? 最近になって辞書をめくっていた折、上記の「クラム」が「Crumb」であることに気がついた。固有名詞みたいに頭文字が大文字になっているが、 もとの crumb には確かに「パンくず」の意味があ

哲学者ウィトゲンシュタインは言語能力が凄いのに、4歳まで一言も喋らなかった。内面では早くから言葉が育っていたが、アウトプットに至らなかっただけかもしれない。なぜなら外国に渡った子供が最初は話せず、半年ほどして急に外国語を話す例がよくあるからだ。脳の言語処理が同じなら、あり得る話。

放送大学の人類学の教科書に、「翻訳」というワードが散見されることに驚いている。英語自体はほとんど忘れてしまったものの、一応翻訳を修めたことには意味があったのではないか。異文化への興味は昔からあったが、遠回りして回収しているのかもしれない。

海外で人事異動という制度は聞かないが、日本では秀吉の時代から「国替え」というのがあったそうだ。江戸時代の参勤交代も、似た流れだろうか。睨みを効かせるには、便利なのかもしれない。

「人様」という日本語は、周囲への気遣いを匂わせる。あまり自分が入っているという響きではないが、自分も「ひと」だから含めてみればどうか。周囲も自分も大事にできれば一番いい。「自分も人様のうち」と考えるようにしてみようと思う。

本棚に布をかけています。心身の調子が悪いと、寝床から背表紙が見えるのもしんどいから。『すごいよ! マサルさん』は関係ありません。たぶん。